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30・40代エンジニアが社会的インパクトを生むには? エンジニア出身プロジェクトマネージャーが語る現場のリアル

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2022/04/14 12:00

 多彩な可能性を秘めているITエンジニアのキャリア。思い描く将来像はさまざまながら、やりがいや収入アップ、さらには成長実感を得られるものとして、30〜40代なら身につけておきたいのが、「上流工程のスキル」だ。どのようなメリットがあるのか、また経験をどのように積んで、転属や転職の際にはどうアプローチしていくべきか。そこで今回は、システムエンジニアとしてキャリアをスタートし、現在は大規模EC開発事業を展開するエスキュービズムグループで、顧客の課題解決に取り組む今中啓輔氏に、現職までの経緯や転機、「上流工程のスキル」の身につけ方などについてお話をうかがった。

目次
株式会社エスキュービズム・テクノロジー プロジェクト本部 部長 今中啓輔氏
株式会社エスキュービズム プロジェクト本部 本部長 今中啓輔氏

エンジニアからプロジェクトマネージャーへの転身で見えたもの

――今中さんのこれまでのご経歴についてお聞かせください。

 もともと親の仕事の影響でコンピュータには親しんできたので、その延長線上でコンピュータを使って仕事をしようと考え、エンジニアになりました。はじめはシステムエンジニアとして携帯電話端末の基盤・制御系のプログラム開発に従事し、ハード側の職人さんと一緒に16進数までさかのぼって調整し「品質を作り込む」という体験をしました。今は既存のものの掛け合わせでスピーディに価値をつくることに重点が置かれがちですが、基礎技術にさまざまな叡智が込められていることを実感できたのは、今でも技術への憧憬というか、尊敬につながっていると思います。この仕事はどうしても顧客の方ばかりを向きがちなので、そうした感覚が根底にあるのは大切なことだと思います。

 その後、インフラ事業のベンチャーにて新規事業立ち上げに従事し、代表取締役の肩書をもちながら、営業と開発を両方行うという、なかなかタフな仕事の仕方をしていました。ここで、私のプロジェクトマネージャーとしての心構えというか、「やり遂げたうえで確実に成果につなげる」という信念が生まれたのではないかと思います。

 2016年にリテールテックのリーディングカンパニーを標榜する株式会社エスキュービズムにエヴァンジェリストとして参画し、後に開発本部長となって、ORANGEを活用したシステムの構築を中心にさまざまな案件に携わってきました。

 当初はエヴァンジェリストという形で、エスキュービズムのアンバサダー的な役割でした。その後、開発本部長として40人ほどの部下を抱えたものの、マネジメントよりも顧客に接していたいと考え、役職を離れてプロジェクトマネージャーとしてひとり立ちし、現在のプロジェクト本部の本部長となりました。エスキュービズムに入ってすぐにプロジェクトマネージャーとして仕事ができたわけではなく、希望した上で異動させてもらったという経緯があります。

 今となっては浅はかですが、当時はプロジェクトマネジメントは基本的に同じで、規模が大きくてもやることは同じだと思っていたんです。でも実際には、毎回大騒ぎになり、なんとかやりきり……というのを繰り返しながら、自分の力を蓄えていったというところですね。

 プロジェクトマネージャーというと世間的にはスマートなイメージがありますが、振り返ってみると、我ながらかなり泥臭く仕事をしてきたと思います。上流工程に携わるためのスキルを選択して身につけたというより、実際に案件に対峙して「どんな方法をとってもやり遂げる」という意思を持ち、そのためにあらゆる武器を使っていくことが大切なのではないかと思います。使い方を覚えてから使うというより、使ううちに使い方を覚えるというところでしょうか。

「つくってオシマイ」ではない共創の現場、上流工程の喜びとは

――プロジェクトマネージャーとして上流工程に関わることで、どのようなことでやりがいや楽しさを感じられますか。

 人それぞれだと思いますが、私は「共創の喜び」に尽きると思っています。社内はもちろん、顧客や外部開発パートナーと連携して価値を創り上げる。やり切るというより、何よりシステムが”稼働する”ことが重要で、それによって新しい価値を創出し、顧客とともに新しいステージにたどり着いた時に一番喜びを感じます。とはいえ、その喜びを最後に味わえるのは、とにかく大変な思いをしているからでしょう。顧客の課題を理解し、課題解決のための提案をするのはそう簡単なことではなく、冷や汗どころか大汗をかきながら取り組んでいます。

 例えば、かつて担当したふるさと納税サイトのプログラムでは、倍々で急成長していたサービスだったこともあり、次の繁忙期にはダウンしないよう提案を行うことになったんです。しかし、同じ10倍でも10を100にするのと、100を1000にするのとではシステムもプログラムも全く異なります。単にサーバーを増強すればいいというものではないので、レベル感や採用する技術がすべて変わるというところを説明し、その上で期限までにやり切るという、それはハードな体験をしました。最終的には期限に間に合わせ、現在、同分野では国内最大級のサービスとして稼働しています。

 こうした難易度の高いプロジェクトを円滑に推進していくためには、顧客はもちろんですが、社内や外部パートナーとの関係構築にも神経を使います。正直、そこは難しく、大変だからこそ、面白さも感じるところだと思います。特に「つくってオシマイ」ならともかく、顧客のパートナーとして伴走していくためにもおろそかにはできません。言いにくいところもきちんと伝え、そして実現したからこそ、関係がつながっているのだと思います。ステークホルダーとして深く入り込むからこそ、時に大きな責任を負うこともあるので、その覚悟は必要でしょうね。また、プロジェクトで得たノウハウを自社に蓄積するだけでなく、関係者へ共有することでチームとして強くなっていくことも、この仕事の醍醐味だと思います。


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

  • 篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

     フリーカメラマン 1975年生まれ。  学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。  卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や...

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