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キャリアインタビュー(AD)

30・40代エンジニアが社会的インパクトを生むには? エンジニア出身プロジェクトマネージャーが語る現場のリアル

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 多彩な可能性を秘めているITエンジニアのキャリア。思い描く将来像はさまざまながら、やりがいや収入アップ、さらには成長実感を得られるものとして、30〜40代なら身につけておきたいのが、「上流工程のスキル」だ。どのようなメリットがあるのか、また経験をどのように積んで、転属や転職の際にはどうアプローチしていくべきか。そこで今回は、システムエンジニアとしてキャリアをスタートし、現在は大規模EC開発事業を展開するエスキュービズムグループで、顧客の課題解決に取り組む今中啓輔氏に、現職までの経緯や転機、「上流工程のスキル」の身につけ方などについてお話をうかがった。

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株式会社エスキュービズム・テクノロジー プロジェクト本部 部長 今中啓輔氏
株式会社エスキュービズム プロジェクト本部 本部長 今中啓輔氏

エンジニアからプロジェクトマネージャーへの転身で見えたもの

――今中さんのこれまでのご経歴についてお聞かせください。

 もともと親の仕事の影響でコンピュータには親しんできたので、その延長線上でコンピュータを使って仕事をしようと考え、エンジニアになりました。はじめはシステムエンジニアとして携帯電話端末の基盤・制御系のプログラム開発に従事し、ハード側の職人さんと一緒に16進数までさかのぼって調整し「品質を作り込む」という体験をしました。今は既存のものの掛け合わせでスピーディに価値をつくることに重点が置かれがちですが、基礎技術にさまざまな叡智が込められていることを実感できたのは、今でも技術への憧憬というか、尊敬につながっていると思います。この仕事はどうしても顧客の方ばかりを向きがちなので、そうした感覚が根底にあるのは大切なことだと思います。

 その後、インフラ事業のベンチャーにて新規事業立ち上げに従事し、代表取締役の肩書をもちながら、営業と開発を両方行うという、なかなかタフな仕事の仕方をしていました。ここで、私のプロジェクトマネージャーとしての心構えというか、「やり遂げたうえで確実に成果につなげる」という信念が生まれたのではないかと思います。

 2016年にリテールテックのリーディングカンパニーを標榜する株式会社エスキュービズムにエヴァンジェリストとして参画し、後に開発本部長となって、ORANGEを活用したシステムの構築を中心にさまざまな案件に携わってきました。

 当初はエヴァンジェリストという形で、エスキュービズムのアンバサダー的な役割でした。その後、開発本部長として40人ほどの部下を抱えたものの、マネジメントよりも顧客に接していたいと考え、役職を離れてプロジェクトマネージャーとしてひとり立ちし、現在のプロジェクト本部の本部長となりました。エスキュービズムに入ってすぐにプロジェクトマネージャーとして仕事ができたわけではなく、希望した上で異動させてもらったという経緯があります。

 今となっては浅はかですが、当時はプロジェクトマネジメントは基本的に同じで、規模が大きくてもやることは同じだと思っていたんです。でも実際には、毎回大騒ぎになり、なんとかやりきり……というのを繰り返しながら、自分の力を蓄えていったというところですね。

 プロジェクトマネージャーというと世間的にはスマートなイメージがありますが、振り返ってみると、我ながらかなり泥臭く仕事をしてきたと思います。上流工程に携わるためのスキルを選択して身につけたというより、実際に案件に対峙して「どんな方法をとってもやり遂げる」という意思を持ち、そのためにあらゆる武器を使っていくことが大切なのではないかと思います。使い方を覚えてから使うというより、使ううちに使い方を覚えるというところでしょうか。

「つくってオシマイ」ではない共創の現場、上流工程の喜びとは

――プロジェクトマネージャーとして上流工程に関わることで、どのようなことでやりがいや楽しさを感じられますか。

 人それぞれだと思いますが、私は「共創の喜び」に尽きると思っています。社内はもちろん、顧客や外部開発パートナーと連携して価値を創り上げる。やり切るというより、何よりシステムが”稼働する”ことが重要で、それによって新しい価値を創出し、顧客とともに新しいステージにたどり着いた時に一番喜びを感じます。とはいえ、その喜びを最後に味わえるのは、とにかく大変な思いをしているからでしょう。顧客の課題を理解し、課題解決のための提案をするのはそう簡単なことではなく、冷や汗どころか大汗をかきながら取り組んでいます。

 例えば、かつて担当したふるさと納税サイトのプログラムでは、倍々で急成長していたサービスだったこともあり、次の繁忙期にはダウンしないよう提案を行うことになったんです。しかし、同じ10倍でも10を100にするのと、100を1000にするのとではシステムもプログラムも全く異なります。単にサーバーを増強すればいいというものではないので、レベル感や採用する技術がすべて変わるというところを説明し、その上で期限までにやり切るという、それはハードな体験をしました。最終的には期限に間に合わせ、現在、同分野では国内最大級のサービスとして稼働しています。

 こうした難易度の高いプロジェクトを円滑に推進していくためには、顧客はもちろんですが、社内や外部パートナーとの関係構築にも神経を使います。正直、そこは難しく、大変だからこそ、面白さも感じるところだと思います。特に「つくってオシマイ」ならともかく、顧客のパートナーとして伴走していくためにもおろそかにはできません。言いにくいところもきちんと伝え、そして実現したからこそ、関係がつながっているのだと思います。ステークホルダーとして深く入り込むからこそ、時に大きな責任を負うこともあるので、その覚悟は必要でしょうね。また、プロジェクトで得たノウハウを自社に蓄積するだけでなく、関係者へ共有することでチームとして強くなっていくことも、この仕事の醍醐味だと思います。

航空機や通信インフラ、果ては子ども服まで! 多様な大規模案件に携わる面白さ

――現在プロジェクトマネージャーとして活躍する今中さんは、実際にどのようなプロジェクトに関わっていますか?

 現在は、プロジェクト本部で顧客のニーズに合わせ、ORANGE製品を中心にカスタマイズ開発を行ってシステムを導入するプロジェクトを担当しています。ORANGEは当社の主要サービスパッケージの1つで、リテール企業を中心にECおよびPOSシステムを提供しています。パッケージといっても、その販売が主事業ではなく、あくまで顧客企業の課題を解決する際の迅速性を高めるためのツールです。私の部署がその開発やカスタマイズを担い、さらに自社内だけでなく、多種多様な開発パートナーとの連携が当社の強みとなっています。

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多様な大規模案件をカバーするエスキュービズムの事業範囲

 業務内容としては、提案支援を行うところから、プロジェクト毎の体制構築や必要となるリソースの調達、そして実際にプロジェクトがスタートしてからは要求整理・要件定義の推進と実施、開発工程全体の管理と推進、顧客や社内、パートナーとの調整及び、社内、パートナーの管理、そして課題・問題管理とその解決の推進、受入支援とローンチ準備までを行います。そしてシステムが完成すれば、移行切替やローンチの管理と実施を行い、保守フェーズ及び、追加開発フェーズへの引継ぎを行います。

 プロジェクト規模としては1年ほどかけて実施するものが多く、案件によっては、営業、提案、受注、要件定義までを担い、プロジェクトマネージャーとして一通りの役割と工程に携わりながら施策に伴走し、リリース後には、追加開発、インフラ対応、保守対応などにも関わっています。

 基本的にはECとPOSの両面からリテール企業の案件を担える企業はそう多くないので、それが当社の強みとなっています。それだけにご依頼いただく企業の業界や案件は多種多様で、良くも悪くも”慣れる”ことがありません。常に新鮮な気持ちでお客様と共に一から考え、企画・提案を行い、調整していく必要があります。そこが、エスキュービズムでプロジェクトマネージャーとして案件に携われる面白さであり、常に勉強しながら新しいことに取り組んでいる実感があります。

 例えば、子供向けアパレルメーカーの案件では、店舗で購入した製品を自宅までお届けする、自宅で店舗試着を予約するなど、リテール周りのさまざまな要件を満たすことを求められました。さらに発展形として、基幹店舗で実施されているレストランや小児科、リラクゼーション、キッズスクール、フォトサービスなど、子どもを取り巻くさまざまなサービスについて、予約などのシステム開発にも当社が参画し顧客情報を統合して管理しています。また、デジタルサイネージなどで予約情報などを告知したいということになり、それに関わる開発や調達、調整にも携わりました。はじめはECやPOSシステムであっても、顧客起点で顧客がやりたいことをどうやって実現していくかを考えるというスタンスでいます。

社会的インパクトが大きい事業に携わることで得られるもの

――過去、ベンチャーで代表取締役として活躍されていた今中さんが、エスキュービズムに入社されたのはなぜですか。また、実際に入られて、仕事の仕方などは変わっていきましたか。

 当時、ベンチャー企業のグループ子会社の代表取締役として2年間の任期で契約をしており、任期を更新して続けるか、退任するかを考えていたタイミングにありました。そんな時に、インフラの委託先のパートナーというお付き合いのあったエスキュービズムの当時の役員から誘いを受け、もともと勢いがあってワクワク感のある会社として認識していたので、二つ返事で入社を決めました。

 仕事として一番魅力に感じたのは、プロジェクトの種類の豊富さと規模感です。入社前のベンチャーでは規模的にも数千万円程度でしたが、エスキュービズムでは数億円という規模のプロジェクトも普通だったので、その分社会的インパクトも大きいと感じました。そして、もう一つは、エスキュービズムが成長を優先させていた時期で、その分社内も流動的で案件はあるのに、対応できる人がいないという状況にありました。ベンチャーで社外と連携してチームとして仕事をしてきたので、そのモデルを導入し、構築することで組織に貢献できると考えたのです。

――大規模案件ならではの難しさややりがい、得られるスキルなどについてお聞かせください。

 難しさとしては、規模が大きく顧客側でも全体を俯瞰できていないので、現状把握に時間を要するところや、プロジェクトの動きが遅いところですね。そもそも関係者が多く調整がつかないし、連携先も多い。対処事項が1つでも複数の調整が発生するところなど、組織的な問題は多々あります。また、データ量が多く、簡単に移行できないのも大規模案件ではよくあることです。そもそも計画を立てて関係者で連携しながら進めなければうまくいきません。だからこそ、前述したような共創の喜びも大きく、稼働させることでの社会的インパクトの大きさも感じられます。

 そんな経験を通じて得られる”スキル”というより”経験値”は、何ものにも代えがたい財産になるのは間違いありません。プロジェクトの進め方のノウハウや、今後のベンチマークとしての体感などは言語化できないものだと思います。

やりたいと手を挙げれば、チャレンジできる文化があるエスキュービズム

――もし、プロジェクトマネージャーとして上流工程に携わりたいと思われる方がいたら、スキルアップなどどのようにアドバイスされますか。

 ちょっと暴論かもしれませんが、本を読んだり、ツールを使ったりするよりも、まずは案件を受けて、試行錯誤しながら学ぶほかないと思っています。私がエスキュービズムに入ってよかったと思うのは、とにかく潤沢な案件とチャレンジさせてくれる文化があることです。ただ、なんでも言われた通りにこなすというわけではなく、ORANGEというリテールに特化した製品があり、経験豊富な開発パートナーがそこを軸にしながら広げていくという考え方なので、キャリアやスキルの計画を立てやすく、サポートを受けやすいのではないでしょうか。

 その意味で、多彩なスキルセットを持つフルスタックエンジニアは、プロジェクトマネージャーとしても上流工程を含めて、すぐに活躍できると思います。ただ、そこまでスキルセットに自信がないという人でも、エスキュービズムでは自然とプロジェクトを牽引するようになっていますね。

 例えば、ORANGEの開発エンジニアであるKさんは、新卒であるにもかかわらず、Wi-Fiロッカーの案件でRaspberry Piを使ってみるというアイディアを提案して採用され、そのプロジェクトの責任者として案件をコントロールしています。普通の会社なら、製品開発担当者はその範囲での仕事にとどまり、それ以外のプロジェクトに参加させてもらえるということはないでしょう。技術的に興味をもっていて、「なにかやってみたい」という思いがあれば、手を挙げて採用される機会は多いと思います。

――最後に、キャリアやスキルのくくりを越え、新しいことにチャレンジしてみたいと考えている方に、メッセージをいただければと思います。

 エスキュービズムは、自らの手で世の中を変えていくことを推進している会社です。誰もが新しいことにチャレンジをして、価値を生み出すことで、よりよい世界を作るという考え方に基づいています。

 多くのエンジニアは、基礎研究の研究者でもないかぎり、自分の技術が世の中に役に立つことを無上の喜びとしているはず。提案や企画といった上流工程のスキルを身につけることで、エスキュービズムではさまざまな顧客企業にアプローチして、その企業が持つ課題を自分が持っている技術によって解決したり、新しい価値を生み出したりすることができます。いわば顧客がワクワクすることを提案し、実装することで、自分もワクワクに便乗していく。そうした仕事ができる場は、自身も成長し、組織の成長にもつながっていくでしょう。そうした仕事が期待できる場で、ぜひ一緒に新しいことにチャレンジできればと思います。

大規模Eコマースシステム開発に特化した、株式会社コマーステクノロジーとは

 エスキュービズムは、100%子会社として大規模Eコマースシステム開発に特化した新会社を設立しました。現在採用を強化していますので、興味のある方はぜひ一度覗いてみてください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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