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Windowsで進化するマルチプラットフォームGUI開発

マルチプラットフォームのGUIフレームワーク「Avalonia UI」でMVVMアプリを始めよう

Windowsで進化するマルチプラットフォームGUI開発 第5回

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 数年前からMicrosoftは、Windows onlyから脱却してマルチプラットフォーム戦略を打ち出しています。その戦略はデスクトップ向けのGUIアプリにもおよび、マルチプラットフォームで動作するアプリの開発ができる、さまざまなライブラリやフレームワークが提供されるようになってきました。本連載では、Windows環境におけるマルチプラットフォームGUI技術(.NET以外も含む)について、(主にC#の)サンプルコードを交えて解説します。

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はじめに

 Windows環境で開発可能なマルチプラットフォームGUI技術を解説してきた本連載も、次回で最後になりました。最後は、Avalonia UIを紹介します。これまでと異なり、Avalonia UIは、マイクロソフトが関わったフレームワークではありません。とはいえ、.NET上で動作するオープンソースのフレームワークであり、幅広い環境に対応しています。

対象読者

 C#の基礎的な知識がある方を対象とします。C#の基本文法などの解説は割愛します。

Avalonia UI

 Avalonia UIは、.NET(厳密には、.NET Standard 2.0)に対応したフレームワークです。

動作・開発環境

 .NETが対応する環境で動作可能です。公式サイトでは、Windows 8以降、maxOS Sierra 10.13以降、Linux(Ubuntu 16.04以降など)をサポートしていると記されています。また、AndroidやiOSなどのモバイル環境にも対応し、さらにWebAssemblyにも対応しています。WebAssemblyとは、簡単に言えばブラウザ上で高速に動作するバイナリフォーマットで、ブラウザ単体で動作するWebアプリが開発可能です。

 Avalonia UIの開発環境としては、Visual Studio 2017以降、JetBrains Rider 2020.3以降に対応しています。JetBrains Riderは、開発ツールで知られるJetBrains社の有料IDEです。

 本稿では、Visual Studio Community 2022を利用します。

特徴

 Avalonia UIは、.NET MAUIと同様にXAMLベースのフレームワークでWPFとよく似ています。WPFは、ご存じの通りマイクロソフトが開発した.NET FrameworkのGUIフレームワークです。WPFの名称となっている「Windows Presentation Foundation」のとおり、WPFはWindows環境のみのGUI技術に対して、Avalonia UIはマルチプラットフォームに対応したことで、WPFを発展、進化させたものとも言えるでしょう。

各フレームワークの比較
各フレームワークの比較

MVVMパターン

 WPFでは、MVVMパターンと呼ばれるソフトウェア構成が推奨されていました。Avalonia UIにおいてもMVVMパターンを利用したアプリの開発が可能で、テンプレートとしてMVVMパターンのプロジェクトも提供されています。

 MVVM(Model-View-ViewModel)パターンとは、アプリのロジック部分とUI部分とを分離(疎結合に)するためのソフトウェア構造です。ロジック部分とUI部分とを分離することにより、開発効率の向上やコードの再利用が容易になります。

MVVMパターンでのクラス構成
MVVMパターンでのクラス構成

 Viewは、画面表示や入力を受けつける処理を担当します。Modelは、アプリで利用するデータの管理やアプリの内部的なロジックを担います。ViewModelはViewとModelを仲介し、ViewやModelに対して状態変更を通知、反映させる役割となります。

データバインディング

 データバインディングとは、アプリのUIパーツとそのパーツで利用するデータとを接続する処理です。Avalonia UIではViewの画面定義となるXAMLでUIパーツを定義し、そのデータ部分はViewModelのプロパティとします(ここは実際のコードを見た方がわかりやすいので、サンプルコードと共に後述します)。

次のページ
基本のMVVMアプリ

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 高江 賢(タカエ ケン)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

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