パートナーとともに学ぶ、NOPが取り組む新たなコミュニティとは
──NOPはシスコ DevNetにいつから参画していますか?
滝島:2020年からです。最初はネットワークプログラマビリティの可能性に期待し、社内のネットワークエンジニアへのPythonの教育から始めました。2019年のことです。
2020年になるとシスコがシスコ DevNet認定資格制度、アイデアソンやハッカソンのイベント、パートナー認定制度を次々と開始されましたが、どれもネットワークエンジニアの目指す姿を実現するのにとても魅力的なプログラムだと感じました。NOPはそのタイミングでシスコ DevNetに参加し、その後はシスコさんの支援をいただきながらエンジニアのスキル向上や実務でも活用できるプログラムの作成に取り組んでいます。
山口:NOPがネットワークプログラマビリティの活動で、Pythonトレーニングを開始したころ、NOPに、プログラマビリティビジネスの中長期プランをお伺いしたのですが、その内容は、欧米のパートナー様やエンドユーザー様のシスコ DevNetについての認識と異なり、私にとってはとても新鮮なものでした。
欧米のエンドユーザー様はもともとプログラマビリティへの意識が比較的高く、ビジネス課題を解決するために必要なネットワークプログラマビリティやAPIについて明確な目的をお持ちです。それ故、蓄積されたシスコ DevNetの膨大な情報の中からニーズにあわせて欲しいコードサンプルやAPI、実装方法などを調べて実装することが容易です。
一方、日本の場合、DXを使って新しいアプリケーションやサービスをエンドユーザー様が構築しようとする場合、エンドユーザー様はパートナー様と一緒に考えたり、パートナー様に提案を求めたりする“伴走”モデルが珍しくありません。パートナー様は、エンドユーザー様からいつ求められても良いように、中長期視点にたってエンジニア育成、リセラー様へのネットワークプログラマビリティの啓蒙、実プロジェクトでの経験の蓄積、などを進めていくことが非常に重要です。
NOPは、それらの要素をシスコ DevNetを使ってどう進めていくべきか、3カ年計画としてまとめておられたのです。これは驚きとともにその後の日本でのシスコ DevNetの進め方にも大いに参考になるものでした。
──NOPのシスコ DevNet推進の計画はどのようなものでしたか?
滝島:まずは部内にシスコ DevNet推進チームを作り、Pythonなどプログラム開発に関する教育や、学んだ知識を活かして実務で役立つアプリケーション開発を行いながらスキルを高めるということに取り組みました。例えばCisco Bug APIからバグ情報をプログラムで自動収集することで、不具合に関するリスク把握や詳細を調査するエンジニアの工数を軽減できるツールの作成などがあります。ある程度開発に自信がついたらパートナー様にも広めていくというような段取りで考えていました。
──シスコ DevNet参加以降はどのようなことに取り組みましたか?
滝島:社内の取り組みに加えて、シスコの「Japan DevNet イノベーション チャレンジ」にもエントリーしました。最初は作品を仕上げるのがやっとな感じでしたが、2回目の参加となる2021年度には色彩心理学・AI技術を利用した適性検査サービス「カラタレ」とWebexを組み合わせて、参加者の相性に最適化されたブレイクアウトセッションを生成する作品でオーディエンス賞をいただくこともできました。
──「NOP DevNet コミュニティプログラム」について教えてください。
滝島:2021年から開始した、ネットワンパートナーズが主催するネットワークプログラマビリティ支援のパートナープログラムです。NOPのパートナー様となるシスコのリセラー様を対象とした半年間の合同教育プログラムで、ネットワークエンジニアの方にネットワークプログラマビリティの初歩を習得していただきます。大まかな流れとしては、プログラマビリティの基礎やツールの使い方を学び、Pythonでプログラムを書いてみる、Webexと連携してみるなど、実際に動くものを作るところまで学んでいます。
将来的には自社内でシスコ DevNet推進のリーダーとなれる人材を育成することを目的としています。このプログラムの参加には費用は一切いただいておらず、パートナー様のエンジニアたちと一緒に学び、知恵を出し合い、コミュニティとして盛り上げていく趣旨で運営しています。参加者は主に1社から2名ずつ、総勢10名程度です。
学習後には、それぞれの企業でどのような活用を考えているのか、あるいはすでにされたのかを成果発表会で参加者全員に共有を行い、プログラムの締めくくりとしています。