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ネットワンパートナーズのDevNet 推進プログラムに迫る(AD)

企業を越えてネットワークプログラマビリティを学ぶ「NOP DevNet コミュニティプログラム」とはどんな取り組みか

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 ネットワークエンジニアはコマンドを暗記して使いこなす業務が多いが、近年ではプログラマビリティが浸透してきている。その学びの中心にあるのがシスコ DevNetだ。シスコのディストリビュータで、2022年Japan Distributor of the Yearを受賞したネットワンパートナーズでは、自社およびパートナーのネットワークエンジニアのプログラムスキルを高める取り組み「NOP DevNet コミュニティプログラム」を実施している。どのような取り組みを行っているのか、ネットワンパートナーズの滝島大介氏とシスコシステムズの山口朝子氏に聞いた。

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ネットワークプログラマビリティの世界的コミュニティ「シスコ DevNet」

──まずは自己紹介を簡単にお願いします。

滝島大介氏(以下、滝島):ネットワンパートナーズ(以降、NOP)は2008年11月の設立より、パートナー様との協業ビジネスに特化し、先進のICT商材やサービスの販売支援、導入運用保守の行程で、マルチベンダ製品の取り扱いから培ったノウハウや独自の技術検証といった付加価値をつけてパートナー様に提供しています。私は1997年に親会社のネットワンシステムズに入社し、主に製造、流通、メディアのお客様に対してアカウントSEとしてネットワークの設計構築を担当し、2019年からNOPに移って、パートナー様へのエンジニアリングサービス提供を担当しています。

ネットワンパートナーズ株式会社 セールスエンジニアリング部 部長 滝島大介氏
ネットワンパートナーズ株式会社 セールスエンジニアリング部 部長 滝島大介氏

山口朝子氏(以下、山口):7年前にシスコシステムズ(以降、シスコ)に入社し、アライアンスビジネスに携わっています。なかでもシスコ DevNetという、APIやプログラマビリティをパートナー様に普及していく活動に従事しています。シスコ DevNetには重要なミッションが2つあります。1つはNOPのようなシスコ製品を販売いただいているパートナー様へのイネーブルメント、もう1つはISV(Individual Software Vendor)やアプリケーション開発企業様など、シスコにとっては比較的新しいタイプのパートナー様に向けた各種プログラムの企画・実行です。

──シスコ DevNetについて教えてください。

山口:シスコ DevNetはシスコが7年前に世界規模でスタートさせた、エンジニア向けのコミュニティで、APIやプログラマビリティに関する学習コンテンツ、開発環境、ユースケース、ケーススタディなどの情報が公開されています。登録メンバーには個人のエンジニアからパートナー様、エンドユーザー様まで幅広く、現在では全世界で60万人以上がこのコミュニティに参加しています。

 設立当時、徐々にビジネスのクラウドシフトが進展し、アプリケーションもアジャイルやDevOps開発により市場ニーズへの迅速な対応が求められていました。インフラ製品ベンダーであるシスコにとっても実はたいへん大きな変換点であり、アプリケーションを支えるネットワークやデータセンターの早期システム導入や安定稼働には、インフラ側でのAPIやプログラマビリティによる自動化技術の普及が急務となっていたことがシスコ DevNetスタートの背景にあります。

 今ではネットワークを始め、セキュリティ、サーバー、コラボレーションまで、全てのシスコ製品に関連するAPIを公開しており、インフラ構築や導入後の運用効率化など日々のエンジニア業務、お客様業務の生産性向上に役立てていただいています。

また、COVID-19以降は新しい働き方やデータ利活用のためのアプリケーション開発やISV企業様が活用いただけるサービスや情報も充実してきております。

──COVID-19での変化、滝島さんも実感ありますか?

滝島:働き方の変化だけではなく、ネットワークのトラフィックも大きく変化したなと実感しています。これまではデータセンターといった特定の拠点を中心にデータが流れていましたが、COVID-19以降はインターネットを中心にあらゆるところから流れるように変わりました。それにより、ネットワークに求める要件も変化していると感じています。

パートナーとともに学ぶ、NOPが取り組む新たなコミュニティとは

──NOPはシスコ DevNetにいつから参画していますか?

滝島:2020年からです。最初はネットワークプログラマビリティの可能性に期待し、社内のネットワークエンジニアへのPythonの教育から始めました。2019年のことです。

 2020年になるとシスコがシスコ DevNet認定資格制度、アイデアソンやハッカソンのイベント、パートナー認定制度を次々と開始されましたが、どれもネットワークエンジニアの目指す姿を実現するのにとても魅力的なプログラムだと感じました。NOPはそのタイミングでシスコ DevNetに参加し、その後はシスコさんの支援をいただきながらエンジニアのスキル向上や実務でも活用できるプログラムの作成に取り組んでいます。

山口:NOPがネットワークプログラマビリティの活動で、Pythonトレーニングを開始したころ、NOPに、プログラマビリティビジネスの中長期プランをお伺いしたのですが、その内容は、欧米のパートナー様やエンドユーザー様のシスコ DevNetについての認識と異なり、私にとってはとても新鮮なものでした。

 欧米のエンドユーザー様はもともとプログラマビリティへの意識が比較的高く、ビジネス課題を解決するために必要なネットワークプログラマビリティやAPIについて明確な目的をお持ちです。それ故、蓄積されたシスコ DevNetの膨大な情報の中からニーズにあわせて欲しいコードサンプルやAPI、実装方法などを調べて実装することが容易です。

 一方、日本の場合、DXを使って新しいアプリケーションやサービスをエンドユーザー様が構築しようとする場合、エンドユーザー様はパートナー様と一緒に考えたり、パートナー様に提案を求めたりする“伴走”モデルが珍しくありません。パートナー様は、エンドユーザー様からいつ求められても良いように、中長期視点にたってエンジニア育成、リセラー様へのネットワークプログラマビリティの啓蒙、実プロジェクトでの経験の蓄積、などを進めていくことが非常に重要です。

NOPは、それらの要素をシスコ DevNetを使ってどう進めていくべきか、3カ年計画としてまとめておられたのです。これは驚きとともにその後の日本でのシスコ DevNetの進め方にも大いに参考になるものでした。

シスコシステムズ合同会社 パートナーアライアンス推進本部 エコシステムパートナービジネス開発部 部長 山口朝子氏
シスコシステムズ合同会社 パートナーアライアンス推進本部 エコシステムパートナービジネス開発部 部長 山口朝子氏

──NOPのシスコ DevNet推進の計画はどのようなものでしたか?

滝島:まずは部内にシスコ DevNet推進チームを作り、Pythonなどプログラム開発に関する教育や、学んだ知識を活かして実務で役立つアプリケーション開発を行いながらスキルを高めるということに取り組みました。例えばCisco Bug APIからバグ情報をプログラムで自動収集することで、不具合に関するリスク把握や詳細を調査するエンジニアの工数を軽減できるツールの作成などがあります。ある程度開発に自信がついたらパートナー様にも広めていくというような段取りで考えていました。

──シスコ DevNet参加以降はどのようなことに取り組みましたか?

滝島:社内の取り組みに加えて、シスコの「Japan DevNet イノベーション チャレンジ」にもエントリーしました。最初は作品を仕上げるのがやっとな感じでしたが、2回目の参加となる2021年度には色彩心理学・AI技術を利用した適性検査サービス「カラタレ」とWebexを組み合わせて、参加者の相性に最適化されたブレイクアウトセッションを生成する作品でオーディエンス賞をいただくこともできました。

──「NOP DevNet コミュニティプログラム」について教えてください。

滝島:2021年から開始した、ネットワンパートナーズが主催するネットワークプログラマビリティ支援のパートナープログラムです。NOPのパートナー様となるシスコのリセラー様を対象とした半年間の合同教育プログラムで、ネットワークエンジニアの方にネットワークプログラマビリティの初歩を習得していただきます。大まかな流れとしては、プログラマビリティの基礎やツールの使い方を学び、Pythonでプログラムを書いてみる、Webexと連携してみるなど、実際に動くものを作るところまで学んでいます。

 将来的には自社内でシスコ DevNet推進のリーダーとなれる人材を育成することを目的としています。このプログラムの参加には費用は一切いただいておらず、パートナー様のエンジニアたちと一緒に学び、知恵を出し合い、コミュニティとして盛り上げていく趣旨で運営しています。参加者は主に1社から2名ずつ、総勢10名程度です。

 学習後には、それぞれの企業でどのような活用を考えているのか、あるいはすでにされたのかを成果発表会で参加者全員に共有を行い、プログラムの締めくくりとしています。

多様な経験やスキルを持つ人が集まれば新しい発想が生まれる

──このプログラムやシスコ DevNetを通じてどんな変化や学びがありましたか?

滝島:まだまだこれからの部分が多いのですが、2つほどあると思っています。1つはこのプログラムに参加されたエンジニアが一生懸命自社での活用を図ろうとされていること。もう1つはパートナー様の役職者の方が趣旨に賛同され、繰り返しコミュニティプログラムに社員を送りだしてくださるパートナー様がいらっしゃることです。このプログラム終了の数カ月後にフォローアップセミナーを開催したのですが「私たちはこんなことを試してみました。参考にしてください」と報告してくださる方もいて、すごくポジティブなマインドに変化しているのが印象的でした。

山口:まだ日本ではプログラマビリティの価値や効果が十分に浸透していませんし、日々の業務に忙殺されているベテランのネットワークエンジニアが、新たに時間を作ってPythonやAPIを学ぶことは容易ではありません。

 そのようなエンジニアの方向けにはゼロからプログラミングを学ぶのではなく、ローコードやノーコードを使って実現できる自動化に触れてもらう学習カリキュラムを組んだり、日常業務の省力化が可能になるプログラマビリティの知識をコンテストなどのイベントで楽しみながら習得いただいたりしながら、徐々に学びを積み上げていけるようなさまざまな施策を行っています。

 NOPはそれらのコンセプトや施策をNOP DevNetコミュニティプログラムに取り入れて、コミュニティを通じて、現場にいるパートナー様のニーズをうまく吸い上げ、さらに洗練したプログラムに進展させていらっしゃいます。

 また、シスコ主催のプログラマビリティ・APIのコンテスト「Japan DevNet イノベーション チャレンジ」では、大学でプログラミングを学んだもののネットワークのコマンドラインしか使ったことがない若手エンジニアから、ネットワークに精通したベテランエンジニアまで、いろんなバックグラウンドを持つ人たちが寄り集まることで、いいアイデアが生まれる土壌ができるんだなということにも改めて気づかされました。

滝島:ネットワークエンジニアは機器のコマンドを覚えて使うという作業が中心でした。ここに創造力を発揮していくと、ネットワークシステムはもっとよくなりますし、エンジニアはより効率的に仕事ができます。まだまだやれることは多いと感じています。

──これからの展望をお聞かせください。

滝島:これからはネットワークと開発、両方のスキルが必要だと思っています。NOPは比較的早めに取り組みを始めたとはいえ、まだ開発系のスキルは研鑽を重ねていく余地があります。かたや、パートナー様のなかには開発系スキルを強みにしているところもあります。今後多くのパートナー様が参加すると、互いの弱みをうまく補完し、強みを高めあうこともできると考えています。

 デベロッパーにはGitHubやさまざまサイトを通じてコードやノウハウを共有する文化があります。ネットワーク系もみんなで共有していくようなマインドになれるよう、「NOP DevNet コミュニティプログラム」がその一翼を担えたらと思います。

山口:コミュニティや参加者を増やすことは重要だと位置づけています。コミュニティ内で情報交換が活性化し、新しいことにチャレンジする意欲も高まるような、そんな空気感を出して行きたいです。

 ただインフラの自動化はそれを取り入れる企業にとって数値で成果を測りにくいところがあります。コスト削減に寄与することは感覚的には理解されているのですが、ビジネス成長を牽引する要因になっているか、についての意識醸成が重要だと思っています。インフラのうえでアプリケーションやサービスがどのような成果をあげているのか、どういうビジネスに貢献しているかを紐付けて社内コミュニケーションを図ることで、インフラエンジニアもビジネスに貢献している、という意識が高まります。

 実際、アプリケーションエンジニアも、インフラエンジニアもなくてはならない存在です。つまり、インフラのパートナー様とアプリケーションのパートナー様、両者が一緒にお客様の課題に取り組むことで、日本のDXは加速し、グローバル競争力が増すのでは、と考えています。

 2022年7月には「エコシステムパートナープログラム」を立ち上げましたが、まさにインフラ従事のパートナー様とアプリケーション、ソフトウェア開発従事のパートナー様とが共創いただくことを意図しています。シスコは外資系企業なので本社からのディレクションに準じて国内事業を進めることが基本ですが、このプログラムに限っていえば、日本のビジネスモデルや商習慣にあわせてオリジナリティの高いサービスや施策を取り揃えています。その分手探りですが、NOPやリセラー様、その先にいるエンドユーザー様に喜んでいただき、市場が活性化するような取り組みを考えていきたいと思います。

──最後に読者にメッセージをお願いします。

滝島:シスコ DevNetやプログラマビリティは作業負荷軽減や品質向上、これまで構築したシステムに付加価値をつけることもできるという点でとてもメリットがあります。ただし新しい取り組みなので難しさを感じることがあるかもしれません。実は我々も似た気持ちを抱えていますので、パートナー様と同じ立場だと思っています。

 多様な経験やスキルを持つ方々が参加することで、いろんな課題が和らいでいくと思いますので、NOP DevNet コミュニティプログラムにご興味がありましたらぜひ当社のSEか営業にお声かけください。

山口:シスコ DevNetには日本語の記事もあります。ご自分の業務に関係する記事がたくさんあるかと思いますので、ぜひご覧になってみてください。シスコのリセラー様限定になりますが、エコシステムパートナープログラムでは、2022年12月からエコシステムパートナー様のソリューションをご紹介するセミナーを月次開催しています。機会があればぜひお越しください。

 繰り返しになりますが、NOPの戦略的なネットワークプログラマビリティの考え方には大いに共感しており、これまでの貢献に大変感謝しています。これからもプログラマビリティのすそ野を広げ、質を高めていく活動を全面的に協力、ご支援していこうと考えています。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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