カオスエンジニアリングを実体験できる「GameDay」
AWS Summitで注目の企画となるのがAWS GameDay。かつてのAWS SummitやAWS Startup Loft Tokyoで開催されたことがあったものの、近年ではコロナ禍で限定的な開催のみとなっていた。
一般的に「カオスエンジニアリング」と呼ばれる手法がある。わざとサイトに障害を発生させて、エンジニアが原因究明や対策を施す。こうした疑似障害訓練を通じてWebサイトの可用性やセキュリティを改善させるのが狙いだ。
AWS GameDayは、このカオスエンジニアリングを実体験するいい機会となる。AWSではアメリカの年次イベント「re:Invent」では一般参加できる競技として「AWS GameDay」を実施している。
AWS GameDayの準備に携わる、ソリューションアーキテクト DevAx 金森政雄氏は「AWS GameDayは、自分が持つスキルの確認になりますし、普段経験していないサービスを実際に稼働している環境で触れられる機会にもなります」と話す。
AWS GameDayでは、AWSが用意した環境で障害対応など何らかのシナリオがあり、チームを組んでミッションをこなす。例えばCI/CDのパイプラインの設定が間違っており、システムに正しく変更が反映されないというようなシナリオが用意される。与えられたミッションをできるだけ早く、有効に達成することでチームはポイントを獲得する。そのポイントで競う。
一般企業が自社の本番環境でこうした訓練をしようとしても、なかなかできない。細心の注意を払い、準備や計画をしなくてはならないからだ。勇気も要る。しかし、AWS GameDayでは、AWSが事前に疑似的なサービスが稼働している環境を用意してくれるので、安心して気軽に参加できる。
AWS Summitではこの「AWS GameDay」に参加できる。実際には2022年のre:Inventで実施したシナリオを翻訳したものになる。個人で参加できて、参加者はランダムにチームが割り当てられ、シナリオに立ち向かう。競技となっているので、優秀なチームには何らかの表彰がある。すでに満席となってしまっているようだが、当日キャンセルが出た場合は飛び入り参加も可能。もし興味があるなら当日キャンセル待ち状況をチェックしてみてはいかがだろうか。
ミッション克服に向けて当然ながら技術力が必要になるが、ランダムにチームが割り当てられるため、役割分担のリーダーシップ、コミュニケーションなどのソフトスキルを発揮する場にもなりそうだ。互いにいい刺激を与え合うことになるだろう。
金森氏は「ここ数年、対面での大きなイベントがありませんでした。ぜひ現場に足を運び、参加者同士のダイレクトなコミュニケーションを通じて、互いにコロナ禍の3年間で学んだことを共有しあえるといいと思います」と話す。
※本記事の内容は取材時点のものとなるため、開催までに内容を変更する可能性があります。