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Developers Summit 2023 セッションレポート(AD)

クラウドサインの実例に学ぶ、「顧客が本当に求めるもの」を解くために必要なアプローチ

【10-B-8】「顧客が本当に必要だったもの」を求めて

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 プロダクト開発において「顧客が本当に欲しいもの」を見いだすのは至難の業だ。顧客の中に答えがあるわけではなく、探せば答えが見つかるというものでもないからだ。弁護士ドットコム株式会社の市橋立氏が携わる電子契約関連のプロダクトでも、印鑑・印影や管理の方法などに「顧客の要望」が寄せられ、試行錯誤が続いているという。はたして顧客の本当の課題を見いだし、どう解決するべきなのか。事例を踏まえつつ、そこに至たる思索と経緯について紹介した。

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「顧客が本当に求めるもの」という逆問題を解く“銀の弾丸”はないけれど

 「顧客が本当に求めているものはなにか」──プロダクト、サービス開発に携わるベンダーやSIerには永遠の課題と言えるだろう。弁護士ドットコム株式会社の市橋立氏は、ネットでよく見かける風刺画「顧客が本当に必要だったもの」を示し、「こういうものが広がるのは、開発に関わる人なら誰しも身に覚えがあるからではないか」と語る。

「欲しかった」?「必要だった」?
「欲しかった」?「必要だった」?

 なぜ難しいのかといえば、「ユーザーは自分が『本当に』欲しいものを知らない」ためと言われる。言われたとおりに作っても、「ちょっと違う」と言われてしまう。ユーザーは本当に欲しいものを言葉にできない、そもそも欲しいものを知らない。そして、ユーザーの声は、必ずしも正しく伝わってこない。

弁護士ドットコム株式会社 技術戦略室 室長 兼 クラウドサイン事業本部 プロダクト部門統括 市橋立氏
弁護士ドットコム株式会社 技術戦略室 室長 兼 クラウドサイン事業本部 プロダクト部門統括 市橋立氏

 市橋氏はプロダクト開発について「本質的に“逆問題”である」と語る。“順問題”が原因から結果を導くために分析的思考が求められるのに対して、“逆問題”は結果から原因を導くという逆のプロセスで、構成的思考が必要になる。一般設計学でも逆問題の体系化は難しいとされ、プロダクト開発では「課題の定義が不明確」「解が出て初めて問題が具体化される」「解が一意に定まらない」という制限がある。

なぜ難しいのか
なぜ難しいのか

 こうした逆問題を解くのは、「サイエンス」ではなく「アート」といわれる。前提が正しければ結論も正しいとする「演繹法」、データから結論を導く「帰納法」とはまったく異なるアプローチとして、飛躍(=閃き)で推論する仮説先行型の「アブダクション」と呼ばれる方法がある。この「アブアクション」こそ「アート」であり、逆問題の解を導く鍵というわけだ。

 しかし、市橋氏は「閃きで仮説を立てたとしても正解である保証はない。クラウドサインも逆問題に取り組んできたが、必ず課題を解決できる『銀の弾丸』などないことを実感している」と語る。ただし解決を見いだすために、「閃き」を仮説として取り組んできたことが、何らかの答えになったという実感があるという。

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電子契約の「馬なし馬車」時代に求められる「貧相な電子印影」

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この記事の著者

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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