Kubernetes上での仮想マシンの動作を可能にするKubeVirtの開発チームは、「KubeVirt v1.0」を7月11日(現地時間)にリリースした。
KubeVirtプロジェクトは、「仮想マシンをコンテナ内で実行し、Kubernetesでデプロイできるか」という疑問のもと、2016年末に米Red Hatで開始され、2019年9月にはサンドボックスプロジェクトとしてCNCF(Cloud Native Computing Foundation)に参加し、2022年4月にはインキュベーションプロジェクトに昇格している。
KubeVirtの開発にあたっては、テストとレビューの責任を分担するSIGと、リリースに関連するすべてを処理するSIGリリースリポジトリを導入した。
今回の「KubeVirt v1.0」リリースにあたって、SIG-scaleは過去6か月間のパフォーマンスベンチマークとスケーラビリティベンチマークを公開し、コミュニティとエンドユーザーによる複数リリースにわたるパフォーマンスとスケーラビリティ確認を可能にしている。パフォーマンスベンチマークとスケーラビリティベンチマークの公開はコード変更による影響の特定にも役立ち、コミュニティメンバーはパフォーマンスの問題などを診断できるようになった。
SIG-storageは、KubeVirt VMに永続ストレージを提供し、仮想マシンのライフサイクル全体にわたってストレージを管理することに重点を置いている。「KubeVirt v1.0」では、柔軟なVMエクスポートAPIの提供、永続的なSCSI予約の有効化、保持されたスナップショットからの仮想マシンのプロビジョニング、直ちに利用可能なストレージプロビジョナのデフォルト設定の提供が行われた。また、プラットフォーム機能をより適切に活用すべく、KubeVirt DataVolume APIに代わるVolume Populatorの実装も進められている。
SIG-computeは、KubeVirtのコア仮想化機能に重点を置いている一方で、他のSIGには適合しない機能も網羅しており、SIG-computeの担当範囲としては、仮想マシンのライフサイクル、移行、コアAPIのメンテナンスなどが含まれる。「KubeVirt v1.0」では、メモリオーバーコミットの機能を追加するとともに、KSMとFreePageReportingの初歩的なサポートが行われ、永続的なvTPMのサポートが追加された。vTPMのサポートによってWindowsインストールでのBitLockerの使用が容易になる。ほかにも、CPUホットプラグの初期実装が追加された。
SIG-networkは、仮想マシンのネットワーク接続と管理のあらゆる側面を強化および維持することに取り組んでおり、「KubeVirt v1.0」ではホットプラグとホットアンプラグを導入している(アルファ版)。ホットプラグとホットアンプラグの導入によって、ユーザーは実行中の仮想マシン上でブリッジバインディングを使用するVMセカンダリネットワークインターフェースを追加および削除できるようになった。次のマイナーリリースに向けて、ホットプラグAPIの安定化と、SR-IOVインターフェースのサポートも進められている。
SIG-infraは、仮想マシンのUXを簡素化する取り組みを継続的に行っており、「KubeVirt v1.0」ではinstancetype.kubevirt.io APIのv1beta1を導入した。将来のリリースではinstancetype.kubevirt.io APIをv1にすることを目指している。また、仮想マシンのメモリオーバーコミットをインスタンスタイプ内でパーセンテージとして制御可能となったほか、リソース要件が設定に追加されたことで、ユーザーはワークロード要件が満たされていることを確認できるようになった。さらに、多くのユースケースをカバーすべく、いくつかの新たな設定が追加されるとともに、virtctlでは新たなインスタンスタイプと設定機能を利用可能となっている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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