SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Flutterで始めるモバイルアプリ開発

FlutterのBuildContextとは?──その役割と制限をきちんと理解しよう

Flutterで始めるモバイルアプリ開発 第25回

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 今回は、これまでコード上でなんとなく使ってきたBuildContextを中心に説明します。そして、Flutterだけではなく他のフレームワークを利用する際にも通用する共通概念として理解できるようにします。そして「なんとなく」の意味が「ぼやっとした理解」から「抽象的な理解」という意味へ変わることをお助けできればと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Contextとは

 BuildContextの具体的な内容を説明する前に、まずはContextという言葉からプログラミングにおける抽象的な用途について言及します。

 Flutterに限らずさまざまなフレームワークではContextという用語がよく利用されます。そして、多くの場合、それらもなんとなく利用されている状況です。そこで、まずはContextという言葉についてより深く考えてみます。特に、FlutterにおけるBuildContextの説明ではよくわからないという方は、このようなより抽象的に考えることで分かりやすくなると方もいると思います。

Contextの一般的概念

 Contextを直訳すると「文脈」や「背景」や「状況」という意味があります。筆者もContextという言葉の意味と、プログラミングで使われるContextの意味がイメージできず非常に苦労したのを覚えています。しかし、このContextのイメージがつかめると、フレームワークがどのような構造で全体を管理したいのかという設計者の意思をイメージできるようになります。

 例えば、ビジネスコンテキストという言葉を元に、より一般的なケースを考えたものが図1です。

図1:ビジネスコンテキストのイメージ図
図1:ビジネスコンテキストのイメージ図

 例えば、ビジネスという用語の具体的な意味は非常に曖昧ですが、状況とその場において意味の範囲を考慮して多くの方は無意識に理解しているはずです。状況やその場とは、「流行」や「顧客」「予算」などなどさまざまなものについて話をしている間で共通となる背景や制限を考慮して複合的に理解しているはずです。

 つまり、それらを厳密に定義せずにその場の状況に応じて全体を示す言葉が「コンテキスト」と言えます。

 従って、同じ「ビジネスコンテキスト」を共有する場合には、「市場」と言っても明確な不変の「市場」の定義があるわけではなく、その場においての限定的な「市場」という意味になります。そして、その「市場」内における「競合」と言えば、その「ビジネスコンテキスト」を考慮した「競合」を意味することになります。

プログラミングにおけるContextとは

 プログラミングの世界ではContextとは、そのフレームワークを使うプログラマから見た時の抽象的グループと理解することもできます。例えば、リクエストを受けて処理をするアプリケーションをする場合には、図2のようなコンテキスト構造をとることが多くあります。

図2:抽象的なアプリケーション全体でのコンテキストのイメージ図
図2:抽象的なアプリケーション全体でのコンテキストのイメージ図

 各プログラムでは、リクエストのデータにアクセスしたり、データベースを利用したりします。一方、フレームワーク側から見た場合には、すべての機能やデータについて制限なくアクセスできることは好ましくありません。

 そこで、実装するプログラムから見た「データベース」や「データ」にアクセスするための抽象的なグループ概念をフレームワークが提供します。そして、その場合に使われるのが「コンテキスト」という用語です。

 また、グループ概念もプログラム上から見たときの「リクエスト」の上位に「セッション」、そして、その上位に「アプリケーション」というように階層を持っている場合があります。

 このように階層構造を持たせることにより、各プログラムからそれらの制限と機能の範囲をより明確にしつつ、各機能をより安全に利用させることができるようになります。そして、それらの概念がフレームワーク設計者の概念を理解することにもつながるはずです。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
BuildContextとは

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Flutterで始めるモバイルアプリ開発連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

WINGSプロジェクト 小林 昌弘(コバヤシ マサヒロ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/18583 2023/11/13 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング