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Women Developers Summit 2023 セッションレポート(AD)

WHIの女性エンジニア4人が語る、キャリア転換やライフイベントを経ても楽しく働き続ける方法

【A-4】多様な「エンジニア」のキャリアと、その中で共通するもの

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キャリアの大きな転換点、出産後はどのように働くべき?

 エンジニア職を続けている丸山氏、伊藤氏、和波氏に対し、高橋氏はコンサルから開発にキャリアを変えている。その転換点について、高橋氏は「前職のコンサルの時から、『COMPANY』の製品としての素晴らしさを知っていた。産休時に今後のことを考え、1回は作る側も経験したいと思い、思い切ってキャリアを変えることにした」と明かす。

 技術用語などのキャッチアップには苦労しているが、コンサル時代に経験した製品の使い方や運用面での知識は現職にも生かされている。高橋氏は、「お客様からの要望をフィードバックできるのは喜び。以前より製品に近い場所にいて、よりよくしていけるという確信がある。新機能や不具合の解消を発信できることも嬉しい」と語り、そんな高橋氏を3人も頼もしく感じているようだ。

高橋氏の「コンサル」から「エンジニア」へのジョブチェンジ
高橋氏の「コンサル」から「エンジニア」へのジョブチェンジ

 高橋氏はライフイベントが新たな挑戦へのきっかけとなったが、伊藤氏、丸山氏もまた出産という大きなライフイベントを経てきた。二人とも復帰後は時短勤務となり、体力が戻らない中、時間にシビアになったという。そして人に頼ったり、ツールを活用したり工夫するようになった。

 「余裕を持ったスケジュールで前倒しで開発ができるよう相談するなど、減った業務時間と、急なお迎えやお休みに対応できるよう調整した。どうなるかわからない部分を考慮した調整は未だに難しいと感じている」と伊藤氏。さらにマネージャーになって見るべき部分が増えたが、それを得意とする他のメンバーに任せることもあるという。特にメンバーとのコミュニケーションにはしっかり時間を使い、勉強会を開催して自分も勉強しつつメンバーの技術の底上げを図った。丸山氏も「エンジニアにとって勉強は重要ながら、出産前よりも効率よく戦略的に勉強しようとする意識が強くなった」と語る。

時間を使って解決からの転換
時間を使って解決からの転換

 さらに注意したこととして、高橋氏は「業務を自分のところで止めないこと」を挙げ、「時短勤務によりできる仕事量が減り、急に休むことも増えたため、常に状況を共有して代行できるよう工夫していた。人にもよるが、時短の期間は短いので、無理して成果を出そうとするより、マイナスにしないことが重要」と語った。

 一方、フルタイムに戻ってからは、「成果を出すこと」を意識するようになり、目標管理制度(MBO)を上司にしっかり相談するなど、以前よりも建設的に考えるようになったという。無理なく続けられる目標のOKラインを設けることで、精神的にも安定した。無理なく達成できる目標を設けることは、働き方に関わらず、長く働き続けるための工夫といえるだろう。

時短勤務を経験したうえでの時短解除
時短勤務を経験したうえでの時短解除

 また、ライフイベントは新たな領域に挑戦するきっかけにもなっている。丸山氏はマネージャーとプレーヤーを行き来し、高橋氏はコンサルからエンジニアへジョブチェンジ、伊藤氏は二度目の産休後、希望してプレーヤーに戻っている。マネージャーもやりがいがあるものの、産休時期に自身のキャリアを改めて考え、「自分の手で作りたい」と感じる人は多い。

 新たな領域へのチャレンジについて、伊藤氏は「同じ製品で業務は変わらず、さほど戸惑いはなかったが、複数のサブシステムをまたぐ案件が増え、不具合を修正する際に影響範囲が広くなった」と語る。そして、「苦労といえば勤怠」と語り、胃腸炎やインフルエンザなどで子どもが休みがちな時期を伝えるなど情報共有の重要性を強調した。実際、入園後2カ月ほどは3分の2を休んだが、業務時間が取れない中でもいくつかの機能をリリースすることができた。それは周囲に状況を伝えて協力を仰いだことが大きいという。近年は、男女関係なく育児に参加する人が増え、周囲も自然に受け入れているようだ。

どんな立場でも変わらない「物を作るのが“好き”だから、“いいもの”を作りたい」

 「四者四様」のキャリアを歩んできた4人だが、エンジニアとして共通するものも多い。たとえば、時間の使い方をしっかりと考えて仕事をしていることについては、マネージャーの経験やライフイベントによる生活スタイルの変化の影響が大きい。

 和波氏は、「漠然とライフイベントでの時間の制約に不安を感じていたが、限られた時間で成果を出すことは変わらないことを実感した」と語り、高橋氏も「マネージャーになることも試行錯誤のきっかけであり、一人で抱え込まない、こまめな連絡など、やるべきことは変わらない」と語った。なお気になる評価や昇進についても、ライフイベントなどに応じてプレーヤーに戻ったり、マネージャーになったり、という自由度が安心材料になったようだ。高橋氏は「一番重要なのは開発や製品、人などに対して”好き”という気持ちを持つことではないか」と語り、「だからこそ、やりくりも苦労にならない」と評した。

 伊藤氏、丸山氏も「物を作るのが“好き”だから、“いいもの”を作りたい」と語るが、それは製品や機能かもしれないし、チーム形成のような目に見えないものである可能性もある。丸山氏は「キャリアチェンジやライフステージがあっても、その時々で自分がやりたいことややるべきこと、できることを試行錯誤しながら精一杯ずっと続けていきたい。そのためにも“好き”を持続させて、楽しく働き続ける原動力としたい」と語り、伊藤氏、高橋氏、和波氏も大きく頷く。さまざまなキャリアやライフステージを経てきた4人の体験や実感は、多くのエンジニアの参考になるだろう。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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