自由な働き方とチームワークを両立するコツとは?
もう一つ、好ましい文化として和波氏が挙げたのが、「ルールが少なく自由な環境で、多様な人たちとチームで働けること」だ。和波氏は「エンジニアは職種上1人で手を動かす時間が多いためか、個性の幅が広い。WHIは裁量労働制で働き方の自由度が高く、多様性を重視している。そこに魅力を感じて入社した。実際入社してみると想像以上に自由度が高く、それが仕事の幅の広さにも繋がっていると感じる」と語る。例えば、マネージャーが依頼する案件もあるが、エンジニア主体で課題を出したり、やりたいことに手を挙げたりして自らやっていく仕事も多いという。
和波氏は「手を挙げてチャレンジすると、みんなが応援してくれるので発言しやすい。ただし、プロダクト自体が長く作り続けられており、1人でやるには大きすぎる仕事が多いところが難しい」と語る。
普段からチーム単位で仕事をし、どんな仕事も基本は人を巻き込む。そのため、チームメンバーとの業務時間のずれに対応する方法や、完全オンラインでのコミュニケーション、仕事の進め方など、全員が気持ちよく前向きに働くための下準備に工夫が必要となる。
和波氏は「自由が認められている文化は大事にしたい。同じ目標を持って仕事に取り組むからには、自ら積極的に改善していきたい。そのための最低限のルールはどうするか、ルールでなくても改善できる空気感や関係性をどう作るか、マネージャーになって考えるようになった」と語り、高橋氏も「チームの中に改善提案をしていいという空気があるのはすごくいい。目の前の仕事が多少やりにくくても、仕組みを変えていけるのなら、どう改善するかを考え、前向きに仕事に取り組めるはず」と語った。
これという正解がない中で、関係者や仕事が変わる度にやり方を工夫し、パズルのピースがはまるように個人が上手く噛み合って仕事が進む。そうしてプロジェクトをやり遂げたときには、1人でやるよりも何倍も達成感が得られることだろう。
チームとして成果を上げる、開発をしないマネージャーだからこそのやりがいとは?
続いて、今年1月からマネージャーになり、「チームの文化作りに試行錯誤中」という和波氏から、丸山氏と伊藤氏に「マネージャーとしての苦労ややりがいとは?」という質問がなされた。
まず伊藤氏は、前マネージャーが産休になり、時短勤務でマネージャー職につくこととなった。最初は「全部やる」つもりで頑張っていたものの、メンバーが増えてチームとしての対応案件が増え、フォローする時間が圧倒的に増えたことで、自分の仕事にまで時間内に対応できなくなってきた。そこで、「自分で作ること」よりも、「チームとして成果を出せること」を重視し、時間の使い方を変えていったという。
しかしながら、そのマインドシフトにはなかなか勇気が必要だ。エンジニアは自分で開発をしたい人が多く、「開発をしない」という状態に不安を感じる人も少なくないだろう。しかし、伊藤氏は「メンバーの勉強会でも自分で勉強したり、ペアプロなどを通じて機能開発に関わったり、プログラムに全く触れないっていう状態ではなかったため、つらくなかった」と振り返り、「自分で全部やるよりも多くのものが出せるようになった」と語った。
同様に時短勤務でマネージャーになった丸山氏も、「自分がこれまでに培ってきた技術や知識をメンバーに伝えたり、相談に乗ったりすることで、チーム全体の開発スピードが上がったと感じる場面があった」と語り、「自分で開発することはほぼなくなったが、それが苦でないことに驚いた。むしろチームメンバーの開発プロセス全てに関われるので、みんなと一緒に機能をリリースしている感覚がある」と評した。
他にも、「マネージャーになってよかったこと」として、伊藤氏は「各々が自分で開発をする状態から、チームで決めて機能を作れるようになったこと」を挙げた。メンバー全員が同じ方向を向いて機能づくりができるようになったことで、お互いにフォローし合って良い機能を作れるようになり、次の機能開発に対しても意欲が増してきた。また各々のやりたいことを汲みながら、チームや機能の未来を考え、実現するところにもやりがいを感じているという。