産休・育休と忙しい時期が重なりそう! 前後の移行計画を建てよう
3人目はENECHANGEの深堀氏が登壇。育休の取得や育休からの復帰を「ソフトウェアエンジニアにとって身近な概念である“状態遷移”と捉えて、移行計画を立てよう」という趣旨の言葉からセッションを開始した。
深堀氏は2022年10月から育休を取得したが、その計画を始めたのは2022年2月からだったという。そして、家族が妊娠・出産する時期と、当時所属していた事業部での担当プロジェクトの要件定義からリリースまでの期間が重なっていたそうだ。「家族にとってもプロジェクトにとっても、私は重要なステークホルダーになっていた」と当時を振り返る。
片方で何かが発生すると、もう片方に悪影響が出る可能性がある。加えて、両方とも不確実性が高い。そこで深堀氏はリスク回避とキャリアの再整理のため、事業部からCTO室へと異動した。育休取得に向けて、スケジュールなどのコントロールがしやすい社内プロジェクトを担当する方針を選んだという。「この選択は正しかった」と、深堀氏は述べた。
その後、2022年10月から2023年3月まで育休を取得。3月中旬には人事労務担当者や上長との復帰面談をし、業務内容や働き方についてのすり合わせを密に行ったうえで復帰した。このプロセスがあったことで、安心して職場に戻ることができたという。しかし、復帰後の4月・5月は残念ながら失敗をしてしまう。もともと所属していた事業部からのヘルプ要請を引き受けたところ、業務負荷が高くなり、家族にしわ寄せが行ってしまったそうだ。
これらの経験を総括して、深堀氏は「きちんと移行計画を立ててリスクをコントロールすれば、育休の取得・復帰は怖くない」「一方で、計画外のことを無理してやってしまうと、コントロールが困難になる」と解説した。
Q&A・パネルトーク
ここからは、視聴者から寄せられた質問に対して回答したり、登壇者同士で語りあったりするQ&A・パネルトークを実施。視聴者からは以下のような質問が寄せられており、育休・産休への関心の高さが伺えた。
- 共働きで手がまわっておらず、特に食事がおざなりになっています。育児と家事について、何を外注していますか?
- 育休に入るにあたり、ご自身の代替となれるスキルを持った要員の確保に苦労されたのではと思います。そのあたりを伺えますでしょうか?
- 家事・育児と仕事との両立の仕方について。独り身で100%仕事に打ち込んでいる人と比べると差がついたり、何か諦めないといけない部分が出てきたりすることについて、どうやって向き合っていますか?
おわりに
「すべての人が働きやすい状態」を実現するためには、産休・育休を取りやすい職場環境の整備が欠かせない。こうしたセッションを通じて共有される当事者の体験談や所属企業での事例は、多くの人々にとっての参考となり、各社の制度が充実していく助けとなるのではないだろうか。