「新しい常識」を生み出せるのが事業会社でのエンジニアリング
続いてのテーマは、「一個人のエンジニアとして、会社の中でどう活躍するか」だ。エンジニアとして感じられる嬉しさややりがい、苦悩や葛藤などはさまざまだが、荒木氏は「スターバックス体験という、さまざまな歴史がこれから繰り広げられていくタイミングに立ち会うという貴重な体験をしている」ことを挙げた。この意識を持ったエンジニアが、社内外合わせて300人~500人ほど日常的に動いていることも、働く上での充実感をもたらしてくれるという。
そのうえで、「私たちはスターバックス体験だけを作っているわけではない」と話す荒木氏。デジタルギフト券など、10数年前はまだマイナーだった仕組みを当時から積極的に推進したことを引き合いに出し、「我々は文化やインフラを作っているという自負を持っている」と、1企業の施策にとどまらない新たな常識や革新を打ち出す姿勢を強調した。
対する藤井氏は、「実業としてのブランドがあるからこそ、新たな潮流を生み出し、新時代の常識を打ち立てられる」という手応えを働きがいに挙げる。
「事業会社にいるからこそ、実際にシステムを使っている人の声が近い」。内製化されたシステムだからこそ、直接フィードバックを聞きながら自分が役に立っていることを体感できるという。「ホテル業界は、20年以上前に作ったシステムを使い続けているようなレガシーな世界だ。しかし、だからこそ古いシステムに立ち向かい、自分の発想がそのまま事業に活かせる面白さもある」というのだ。
価格の変更を自動化したり、「ちょっと便利なボタン」を作ったりと、日々業務改善に励む藤井氏。「現場のスタッフはITを知らず、それゆえに期待度も低い。そんななかでちょっとした改善を行うと、『これ、便利じゃん!』と前向きな反応をもらえる。こうしたリアクションがあるとやはり嬉しい」と、表情を綻ばせた。