橋野未喜子氏:RubyKaigi2024の登壇経験が教えてくれた挑戦の価値
2022年にWebエンジニアとしてキャリアをスタートさせた橋野氏は、現在はファインディ株式会社でバックエンドエンジニアを務める。テックイベントへの参加を趣味とし、これまで140以上のイベントに申し込んできた。今回のLTでは、RubyKaigi2024での初登壇について語った。
RubyKaigiは、Rubyに特化した国際カンファレンスで、2024年は沖縄で開催され、1400枚以上の現地参加チケットが完売するほどの注目を集めた。橋野氏は、ここで自身が開発した構文解析CLIツール「Omochi gem」についての発表を行った。

プロポーザル提出のきっかけは、RubyKaigiの参加を決めていたタイミングで、LTの募集をX(旧Twitter)のポストで見かけたことだった。友人から「年末年始に作成したライブラリの話をしてみたら?」と提案され、勢いで応募を決意。具体的なテーマが明確だったため、すぐにプロポーザルの作成に取り掛かることができたという。
初めてのカンファレンス登壇にあたり、橋野氏は三つの不安を抱えていた。一つ目は「多くの聴衆の前で話すこと」。学生時代にハッカソンや趣味のLTでの発表経験はあったものの、国際カンファレンスでの登壇は初めてだったため、予定していた沖縄旅行を返上し、直前まで練習を重ねた。
次に「英語の壁」。英語が得意ではない橋野氏は、スライドを英語のみにすることで対応。伝わりやすさを最優先に、画像やソースコード、デモ動画を多く用い、周囲にレビューを依頼して準備を進めた。
そして三つ目は「転職との両立」。同時期に転職活動を進めており、多忙な状況下での挑戦だったが、RubyKaigiでのLT挑戦を評価する企業もあり、挑戦がキャリアにも好影響を与えた。
三つの不安を「周囲の助けを借りることで乗り越えた」と語る橋野氏。登壇後には、観客からのフィードバックや懇親会での意見交換を通じて、自身のライブラリを改善するヒントも得られたという。
登壇を通して橋野氏が得た最大の学びは、「挑戦することの価値」だ。準備や体調管理、仕事との両立は決して楽ではなかったが、それ以上に得られる学びと感動が大きかったと振り返る。
「以前の私は『登壇なんて無理だ』と決めつけていたが、『プロポーザルを出さなければ何も始まらない』という当たり前のことに気づけた。これを聞いている皆さんも、ぜひ挑戦の第一歩を踏み出す勇気を持って欲しい。何を話せばいいか迷うこともあると思うが、そこは"勢い駆動"で、まず申し込んでみることだ。」
「挑戦の成功も、伸びしろも、すべてが経験に繋がる。」橋野氏のメッセージは、多くの女性エンジニアに新たな一歩を踏み出す勇気を与えた。