ガートナージャパンは、ビジネスにおける重要なパートナーとして、ITによる価値を提供できる組織への変革が、IT組織にとって急務であるとする提言を、2月12日に発表した。
同社が2024年9月に、日本国内の従業員数1000名以上を有する大企業におけるIT部門を対象に実施した調査によれば、経営層から十分信頼されていると自己評価した回答者の割合は13.3%で、業務アプリケーション利用者(ユーザー)から信頼されているという回答はわずか9.7%に留まっている。また同調査では、業務アプリケーションによるビジネス成果について「獲得できている」とした回答者とそうでない回答者では、利害関係者との関係性やITに対する姿勢に鮮明な違いがみられた。
同社のディレクター アナリストである関谷和愛氏は、国内における大企業の多くで、革新的な開発技術の真価を発揮させるために必要な、開発標準の刷新が進んでいないことを受けて、「生産性向上の恩恵を十分に享受するためには、単なるツール導入ではなく、開発プロセスや各種の規約、メトリクスといった、開発標準の抜本的な見直しが不可欠です」と述べている。
一方、日本では多くの企業が、過度なカスタマイズなどの技術的負債を抱えたレガシーアプリケーションがビジネスの足かせとなる、いわゆる「2025年の崖」を克服すべく、パッケージアプリケーションの刷新に取り組んできた。極力標準機能に合わせて、カスタマイズを減らすFit to Standardのアプローチに挑戦する企業が増えているものの、中には現行機能をそのまま再現してほしいというエンドユーザーの要望に押し切られ、それが形骸化する例も多い。
同社のバイス プレジデントアナリストである本好宏次氏は、「Fit to Standardを適切に実践するには、ビジネス上重要な差別化につながる領域にカスタマイズを絞り込むことが重要」と指摘する一方で、「アプリケーションを刷新しさえすれば技術的負債が減り、『2025年の崖』を越えられるわけではありません。企業は、ビジネス戦略と連動した形で刷新を行わなければ新たな負債を抱える可能性が高いという現実を認識する必要があります」とも指摘している。
その上で同氏は、「Gartnerのペース・レイヤ・アプリケーション戦略に基づき、必要に応じてFit to Standardとすべき領域を記録システム中心に絞り込み、プロジェクトのスコープを適切にコントロールし、品質、コスト、納期(QCD)を担保すること、ならびに、ビジネス部門のリーダーや経営層とIT部門がビジネス戦略上の優先順位を共有し、差別化につながる領域に投資や労力を重点的に配分することが有効です」との考えを示した。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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