コミュニティでの大きな失敗と後悔から学んだこととは?
コミュニティが拡大していく過程で、「このコミュニティはどこに向かっているのか。学ぶ先に何があるのか」と疑問を投げかけてくる人がいた。佐々木氏は人と情報が集まる場所にはさまざまな価値が生まれるし、学習した先には発展的な未来があると信じていた。
しかし、コミュニティの規模は運営メンバーの想定以上に拡大してしまった。運営の労力が本業に支障を与えないように、運営側は普段から最小限のコミュニケーションですませることを心がけていたため、いつの間にか考え方や感じ方の溝が徐々に広がることになった。そうしたギャップを埋めることができないまま組織が大きくなり、二度目のオフラインイベントをやる頃にはいつしか佐々木氏には手の施しようがないところまで問題は大きくなってしまい、最終的に佐々木氏は運営から離脱することになった。
「それもこれも、自分が考えていることの発信が少なすぎた。振り返れば、無償の活動で成り立つ業務量ではなかった。スケールアップに耐えうる組織デザインができてなかった」と佐々木氏は今でも「大きな失敗」と悔いている。
しかしこの失敗が佐々木氏の人生を変えた。二度と繰り返してはならない戒めや教訓となり、ここから職場における合意のとりかた、仕事の進めかたが変わったという。
例えば組織内で議論が自分の意向とは異なる方向に進んでいたとする。うまく説明して周囲を納得させるのは簡単ではないし、何よりもパワーが要る。しかし、正しいと思ったことは「正しい」と、自分の意向をしっかりと伝え、全員が納得した上で進めることが大切だという。佐々木氏は「何が最大の壁かというと、自分の気持ちです。『こっちが正しい』と言った瞬間に、みんなの責任ではなく自分の責任になる。それが怖いんですよ。流れを変えるような意見を言うことは誰だって怖い。この壁を越えるには覚悟がないとできない。だけど、覚悟して責任を拾うべきです。自分で決めて賛同者を集めて成功させる体験が大事」と説明する。
また、仕事を進める上で部下やメンバーが疲れていないか、無理しすぎていないかもよく目を配らせるようになった。これも小さなほころびが大きな失敗の原因になった反省によるものだという。大規模組織で責任ある立場を経験したからこそ、信念と勇気を持ち真剣に議論することや、仲間に気を配ることなどを学ぶことができた。
最後に、技術力を身につけたいと考えている技術者向けにアドバイスを求めた。佐々木氏は「コミュニティでも、ブログでも、OSS活動でも、アウトプットって『すごいものを残さなくては』とハードル上げがちです。でも全然そんなことないのです。一歩ずつ、楽しんで経験すれば、必ず身につきます」と言う。時には失敗もある。しかし、失敗から学ぶことができれば、それは失敗ではなく成長のきっかけとなる。
また、佐々木氏はこうも言う。「最初は流行りの技術をやりたいとか効率的にレベルアップしたいとか思いがちですが、好きなことをやれば結局は周辺技術も覚えます。私もインフラ勉強会立ち上げ時には何もできませんでしたが、毎日365日配信を聞いて多くの情報を浴びた結果、それなりの技術力は身につきました。また、トップランナーたちの勉強法や情報収集手段を知ることもできるので、コミュニティでの交流はおススメです」
