AWS Marketplaceでの販売に向けて——組織と契約の問題を乗り越える
クラウドネイティブ化で最も難しかったのが、組織的課題の解決だ。その過程では、他部門との調整や意思決定が欠かせなかったからだ。
従来のオンプレミス版のHULFTは、パートナー経由で販売していた。だがコンテナ版はマーケットプレイスでの販売になるので、売り方や売上情報の上がり方、サポートの仕方などが変わるため、新しく仕様や戦略を決める必要があった。「このような問題の多くを開発が音頭を取って解決を図ろうとしていたことで、なんでも開発に聞こうという風潮ができあがり、中央集権的なコミュニケーション構造になっていった」と菊池氏は話す。他部門との調整や意思決定などのコミュニケーションに時間が取られてしまい、開発を残業でカバーするバンク状態に陥ってしまったという。「中央集権的な構造を取るなら、コミュニケーション専業の人を立てること。一方、目指すシステムが中央集権型でないのであれば、意思決定のコストは各部門に分散されるのが良いでしょう。」菊池氏は、目指すシステム構造に組織のコミュニケーションパスを寄せる、逆コンウェイの法則に基づき、そう解説する。
契約的問題への対応については、「早めに関係各所に問い合わせること」と菊池氏は語る。AWS Marketplaceでの販売方法や課金の仕方、法令対応など、契約関連では前例のないことだらけだった。特にHULFTのようにAWSマーケットプレイスに出品するケースは日本で少なかった。「公式ドキュメントはあるが、情報が足りない、初学者が読むのには難しいなど、うまくいかないことが非常に多かった」と菊池氏は振り返る。だからこそ、早めに問い合わせることが大事だと言うのである。
問い合わせ方にもコツがあると菊池氏。クラウドベンダーは海外に拠点がある。時差もあるうえ、曖昧な聞き方をすると、ドキュメントを案内されて終わってしまうことも多い。「どんなことをして、何を期待したか、実際にはどうなったか、どんな回答を求めているかを可能な限り端的にたずねること」とアドバイスする。
また法令対応については法務部、課金対応については財務部に、早めに相談しておくことも重要だ。HULFTのようにAWS Marketplaceで販売する場合、モジュールは米国に配置され、使うユーザーは世界中になる。そのためEAR判定(米国から輸出される製品や技術に対する輸出管理規則の対象となるかどうかを判定する手続き)への対応が必要になり、その判定に半年かかるうえに、場合によっては100万円単位の弁護士への委任費用がかかることも分かった。
このようにさまざまな課題を乗り越え、クラウドネイティブ化した「HULFT10 for Container Services」。「1カ月無料で使える試用版を用意しているので、関心を持った方は、ぜひ、試してみてほしい」と菊池氏は締めくくった。
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