UIテスト自動化ツール「Ranorex」
続いて紹介されたのは、端末側の無影響確認テストをサポートするUIテスト自動化ツール「Ranorex」。UIテスト向けのツールは多いが、Ranorexはノーコードでテスト資産を作成できる点が特徴だ。また、幅広いテクノロジーに対応し、デスクトップアプリやWebアプリ、モバイルアプリなどを一つのツールでカバーできる。
常盤氏は、大手損害保険会社がRanorexを活用し、無影響確認テストを自動化した例を紹介した。
同社はマルチブラウザ化・マルチデバイス化にあたって、管理コストやテスト工数が膨大になることが課題だった。同時に、Salesforce上で稼働するシステムのテスト自動化が困難で、複合的なテストの負荷が大きいといった課題も抱えていた。
こういった課題に対し、Ranorexを導入することによって、管理コストやテスト工数を大幅に削減。無影響確認テストの工数を50%削減したという。さらに、DBの値を検証したり、帳票出力した値が正しいか検証したりする作業まで自動化した。
「開発者のモチベーションが下がってしまう作業を削減したことで、開発者のエンゲージメントも向上し、新規開発に注力できるようになった」と言い、導入効果が大きかったという。
カバレッジ計測「Jtest」
最後に紹介された「Jtest」は、Javaに特化した静的解析・単体テストツールとしてさまざまな機能を提供している。その機能の1つとしてカバレッジ計測機能を提供しており、他のテスト自動化ツールと組み合わせて活用することで、より戦略的なテスト自動化が可能になる。
カバレッジ計測を行いながらテストのカバー率を確認して、不足があればテストシナリオを修正し、テストの漏れをなくしていく。Javaの採用率の高い金融業界に合わせて、対応言語はJavaに特化している。
常盤氏はJtestの運用例として、Jenkinsを用いたUIテストインテグレーションのケースを挙げた。JenkinsをCIサーバーとして立てて、UIテスト自動化ツール・APIテスト自動化ツールを実行しながらすべてのテストを網羅的に行いたい場合だ。

ポイントになるのは、開発者がソースコードを開発して構成管理サーバーに登録していく際、テストシナリオも一緒に登録できることだ。
「この2つをCI環境上で取得してテストを実行しつつ、JtestでJavaのカバレッジを計測する。最終的にはUIテストのレポートやコードカバレッジの状態を複合的にダッシュボードで一元的に表示することができます」
こうした仕組みは他のツールでも実現可能だが、コードカバレッジをマージしてダッシュボードで表示するといった操作は複雑になりがちだ。Jtestは、最終的なレポートまで簡単に網羅的に確認できるのが強みである。
常盤氏は「複数のテスト環境でテストを実行し、カバレッジをマージして全体の総量を確認したい場合、特にJtestを有効に活用いただけるのでは」と提言した。
まとめ
ここまで、金融業界の無影響確認テストの効率化に役立つ3つのツールが紹介された。最後に常盤氏は、テクマトリックスが提供する「機能テストソリューション」についても紹介した。
機能テストソリューションは、単体テストや結合テスト、システムテストのフェーズで活用できるツール群だ。

例えば、右下の「TestRail」は、テストのリアルタイムの進捗確認などをWebベースで行えるテスト管理ツールだ。QAチームによる採用が増えているという。
Excelやスプレッドシートでテスト管理を行う企業が多いが、複数チームでの情報共有やリアルタイムの進捗確認に課題が生じやすい。TestRailを使うことで、テストに関わる成果物を一元管理でき、進捗状況の把握も容易になる。
常盤氏は最後に、「本日の内容に加えて、ソフトウェアの品質向上やテスト効率化に課題を感じている方には、ぜひご相談いただきたい。当社の豊富な製品ラインナップを通じて、皆さまの課題解決やビジネスに貢献できるソリューションをご提案できると考えています」と呼びかけた。
「金融業界の未来を切り拓く:システムモダナイズとテスト自動化の最前線」
テクマトリックス株式会社 ソフトウェアエンジニアリング事業部
本資料では、金融業界におけるシステムの現状や、脱レガシーを実現するテスト自動化手法について解説しています。レガシーシステムにおける、無影響確認テスト(現新比較・リグレッションテスト)に着目し、システムにおける無影響確認テストが対象となるポイントや、テスト自動化に向けたソリューションなどをご紹介しています。

