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CTOインタビュー

Kong共同創業者に聞く「エージェント時代のAPI」と「AI活用における日米の違い」

米国で実践するレガシー脱却──カギは「デカップリング」と「ベストオブリード」

──ここからは、グローバルと日本の比較に話を移します。Kongは米国やヨーロッパでもAI関連の事業を展開していますが、日本の状況をどうみられていますか?

Marco:日本のユーザーと話していて驚くのは、AIがいかに重要であるかをよく理解されていることです。他の地域では「イノベーションのためのイノベーション」を求めている場合がありますが、日本は違います。AIを「労働力不足に対する解決策」として捉えているため、AI導入を加速させる強い決意を持っています。

 多くの人は、日本が保守的で、リスク回避的だと考えているかもしれません。しかし、日本の大企業のCIOやCTOと話していても、まったく逆の印象を受けます。実装に関しては慎重かもしれませんが、「これを何としてでも解決しなければいけない」と理解しており、その点は非常に積極的です。

 日本市場は世界のどの地域よりも早くベストプラクティスを実装できると考えています。なぜならここには、他にはない「必要性」があるからです。

──レガシーシステムとの接続についても教えてください。日本ではレガシーシステムがボトルネックになってAI導入が進まない事例を見かけますが、これは北米などでも同様なのでしょうか?

Marco:レガシーシステムはどこにでもあります。米国の大きな銀行でも、ドイツの大きな製造業でも、メインフレームが動いています。

 やはりレガシーシステムはどこでも課題になっていて、その問題点は変化に時間がかかることです。だからこそ、素早くイノベーションを起こすためにはレガシーをイノベーションから「デカップリング(切り離し)」することが重要です。

Kong Inc. CTO 兼 共同創業者 Marco Palladino

──デカップリングについて、具体的に教えてください。

Marco:例を挙げてみましょう。先ほど申し上げたようにレガシーシステムが物事を遅らせているケースは常にありますが、経済における勝者はレガシーを活用しつつも新しいデジタル体験のためにモダンなプラットフォームを構築できる組織です。

 米国には「バイモーダルIT」というコンセプトがあります。モード1はレガシーを維持すること、モード2は未来のためにイノベーションを起こすことです。モード1にとどまっていてはイノベーションができないので、モード1とモード2の架け橋になるような手伝いが必要になります。

──そのほかにもレガシーから脱却するためのポイントはありますか?

Marco:「すべてを1つのベンダーから買いたい」という偏りをなくして、「ベスト・オブ・リード(最良の組み合わせ)」のアプローチをとることです。

 最高のプラットフォームを作ろうとすれば、マイクロソフトの大規模なユーザーであっても、AWSのユーザーであっても、例えばAPIにおいてはKongのような特化した最適なテクノロジーを探します。

──最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

Marco:グローバル市場において、日本はイノベーションなしに生き残ることはできません。それゆえに、モダナイゼーションとイノベーションは追及されていくでしょう。

 リスクやガバナンス、セキュリティへの恐れはよく理解できますが、効果的にそれらを遵守するためには、すべての管理を一元化することが必要だと私は考えています。

 Kongでもオープンソースフレームワークを提供しています。ぜひイノベーションを止めないように活用していただければと思います。

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この記事の著者

中野 佑輔(編集部)(ナカノ ユウスケ)

 SIer勤務を経て2025年6月よりCodeZine編集部所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

ミヨグラフィ(ミヨグラフィ)

フットワークが窒素よりも軽いフリーランスフォトグラファー。ポートレート、取材、イベントなど主に人物撮影をしています。英語・中国語対応可能。趣味は電子工作・3Dプリント・ポールダンス。 Webサイト

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CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/22721 2025/12/10 11:00

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