AI時代に残るエンジニアの役割を考える──本質は「課題の設定」と「解決策の実装」
【A-5】AIが浮き彫りにしたわたしの武器 -コンプレックスを超えて切り拓く、エンジニアの生存戦略
「価値創造のために課題を設定して解決策を実装する」改めて考えるエンジニアの役割とは
熊谷氏が最後に提示したのは、「人との関わり」を増やすことだ。リモートワークや生成AIの活用が当たり前になり、個人で解決できることが増え、人との関わりは確実に減った。
しかし熊谷氏は、そんな時代だからこそ人との関わり方を意識する必要があると語る。
「人との出会いは機会を生み出してくれる」
勉強会で得られる知見、「この社内ドキュメントが参考になる」という発見、コードレビューから得られるノウハウ。熊谷氏自身も、2024年のDevelopers Boostに先輩が登壇したことから、今回の登壇機会を得た。
社内イベントでの偶然の出会いも、仕事の突破口になった。熊谷氏が顧客のプロジェクト支援の際、開発体制そのものに問題があることに気づいていた。しかし与えられた役割は開発支援に限られており、組織や体制の課題には踏み込みにくい状況だった。
そんなとき、社内イベントでたまたま話した相手がアジャイルの担当者だった。開発体制を診断するサービスがあることを教えてもらい、それが顧客への提案の糸口になった。「武器をもらえた」と熊谷氏は振り返る。一人では解決できなかった課題が、人とのつながりによって道が開けた瞬間だった。

エンジニアだけでなく、営業やマーケティング担当との関わりも重要だ。熊谷氏は新卒のメーカー時代に社長から言われた言葉を紹介した。
「お客様は私たち作り手が想定していないような使い方や、発想を持っています。その発想を聞いているのは、社内では営業やマーケティングの人間です」
つまり、何を作るべきかという開発の源泉は営業・マーケティングにある。だからこそ、そのつながりを大切にしなさいと教えられたのだ。
営業・マーケティングの人と関わるとき、熊谷氏が強く推奨するのが自己開示による「同期コミュニケーション」だ。SlackやTeamsで質問を受けたとき、「ちょっと喋っていいですか」と言ってコールしてみる。お互いにオフィスに出社しているなら実際に会いに行くのもいい。
「迷惑がられるのでは」と思うかもしれないが、熊谷氏は会いに行って嫌がられたことは一度もないという。「むしろ『エンジニアの人が会いに来てくれた』とすごくチヤホヤしてもらえます。ちょっと嬉しいと思いますよ」
人によっては勇気がいる話ではあるが、ぜひ同期コミュニケーションを取り入れてほしいと語った。

最後に熊谷氏は改めてエンジニアの本質を語った。「私たちエンジニアは価値創造に向かって課題設定して解決策を実装する人間である。そこにエンジニアの価値があるということは、これまでもこれからも変わらない」
そこに向かうための武器は、これまで出会ってきた人たちや、やってきた仕事に詰まっている。「皆さんの人生がこの課題解決、価値創造のための武器になっていきます。その一瞬一瞬を大切に生きてもらって、皆さんのエンジニアリングが利用者の方や、皆さん自身の人生を豊かにしてくれることを願っております」と述べ、講演を締めくくった。
この記事は参考になりましたか?
既に会員の方はを行ってください。
- Developers Boost 2025 セッションレポート連載記事一覧
- この記事の著者
-
森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
-
CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
CodeZineは、株式会社翔泳社が運営する開発者のための情報メディアです。日々の開発に取り組むエンジニアやテクノロジーを学びたい方に向けて、プログラミングやAI活用、開発ツール、エンジニアの学びとキャリアに関する記事をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
-
丸毛 透(マルモ トオル)
インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:株式会社SHIFT
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
