「宿題の自動化」がソフトウェア工学の視点で学会登壇へと昇華
転機は思いがけない形で訪れた。ある日、授業中に別の課題に取り組んでいた大塚氏の背後に教員が立ち、「何をしているのか」と問いかけられた。
咄嗟に取り繕ったものの、画面を見られては隠し通せない。生成AIを駆使して課題をこなしていたこと、さらにはオセロのプログラムまで作成していた事実が、その場で明らかになった。
だが、教員の反応は予想外であった。「生成AIの使い方が非常にうまい」「こんな活用例は見たことがない」と評価され、さらには「学会で発表してみないか」と提案された。
宿題をサボることから始まった取り組みが、ソフトウェア工学の学会登壇へとつながった瞬間だった。
当時の大塚氏には、ソフトウェア工学の専門知識も論文執筆の経験もなかった。しかし、宿題を「攻略」する過程で複数の論文に目を通し、ChatGPTを活用した読解術を身につけていたため、論文の構成(型)はおおよそ理解していた。「ならば、その形式に沿って書いてみよう」と大塚氏は考えた。
しかし「宿題をサボる方法」という題目では審査を通らない。そこで、テーマを「ソフトウェア開発の効率化」へと置き換えた。基本情報技術者試験の参考書を手に取り、要件定義、外部設計、内部設計、実装、テスト、納品という一般的な開発工程を把握。そして次のような仮説を立てた。
「ChatGPTを使えばコーディング工程は大幅に短縮される。だとすれば、より重要になるのは要件定義や設計ではないか」という視点を軸に論を組み立て、発表に臨んだ。
発表はオンラインだったため、黒い画面に向かって25分間話し続けたという。手応えを得にくい状況だったが、数か月後、教員から呼び出され大会賞を授与された。
これをきっかけに、より大きな学会での招待講演が決まり、活動の場は国際会議へと広がっていった。
ここで大塚氏は、招待講演や国際会議で発表するには、実力が足りないという事実に直面する。プログラミングを始めてから100時間にも満たない。国際会議での質疑に応答できなければ通用しないと、自らの立場を冷静に見つめた。
「本気で学ぶしかない」と決意し、100日チャレンジが始まった。
