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ASP.NET 3.5 Extensions + ASP.NET MVCフレームワーク

もう一つのASP.NET 「ASP.NET MVC」を知る(前編)

ASP.NET 3.5 Extensions + ASP.NET MVCフレームワーク


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ASP.NETとASP.NET MVCの比較

 前述しましたが、ASP.NETとASP.NET MVCは仕組みが異なるので、できること/できないことが明確に分かれています。まずは、概要レベルでの比較です。

ASP.NETとASP.NET MVCの比較(概要)
  ASP.NET ASP.NET MVC
MVCでのサイト構築 不可能 可能
URLルーティング 対応したWebフォームが必要 ルーティングルールによりシンプルなルーティングが可能
イベントドリブン 利用する 利用しない
単体テスト 工夫が必要 容易に設定可能

 MVCでのサイト構築がWebFormでできなかった原因の一つとして、一つのWebFormに対してビジネスロジックファイルが最低一つは必要だったことが挙げられます。コードビハインドを利用していなくとも、WebForm内に処理を書くことがほとんどです。また、それに伴いURLルーティングもリライトUrlMappingsプロパティを利用すれば可能でしたが、簡単にシンプルなURLを実装できませんでした。

 続いて、実装レベルでの比較です。

ASP.NETとASP.NET MVCの比較(概要)
  ASP.NET ASP.NET MVC
ポストバック 利用する 利用しない
ViewState 利用する 利用しない
アプリケーション形式 Webサイト/Webアプリケーション Webアプリケーションのみ
ツールボックス 多用する 現時点ではほぼ利用しない
コードビハインド 多用する ほぼ利用しない
JavaScriptライブラリ 利用可能 利用可能
各ASP.NETの機能 利用可能 利用可能
埋め込みコード 利用可能 多用する

 いくつかポイントを抜粋します。

 MVCアプリケーションでは、ポストバック・ViewStateを原則利用しません。ユーザーからのリクエストはすべて「Controller」ディレクトリ内のControllerクラスの処理の結果により、表示すべきページが決まります。つまり、ポストの結果、同一のページに戻るポストバックの動作とは相反するサイト構築がMVCには求められます。

 現時点では、ツールボックスはほぼ利用しません。理由はポストバック・ViewStateを利用するサーバーコントロールを利用しないからです。原則ViewPageでは、VS 2008のインテリセンスを利用しつつ、手書きでHTMLタグを記述していく必要があります(後述するHtmlHelperクラスという手助けもあります)。

 一見手間に感じますが、サーバーコントロールを利用しないことにより、ASP.NET MVCアプリケーションのHTMLソースはすっきりとした表示になります。つまり、デザイナとの連携を取りやすいというメリットもあります。

 埋め込みコードは「<% %>」で括ることでVB/C#のコードをHTMLソース上で実行できるようになります。ASP.NET MVCではModelで受け取ったデータをViewPageのHTMLソース上で埋め込みコードを利用し表示することになります。この部分はプログラマの力が必要なので、デザイナと連携を取りながら、データ表示の部分の処理を埋め込むことになるでしょう。

 各ASP.NETの機能は、今までのASP.NETアプリケーション構築の中で利用してきた機能のほとんどを指します。認証・メンバシップとロール、プロファイル、データキャッシュ、セッションなど。この部分はASP.NET MVCの上でも問題なく動作します。

ASP.NET MVCのリクエストフロー

 現時点でASP.NET MVCのソースは公開されていますが、あくまで一部のみの公開で詳細な部分は依然として隠ぺい化されています。また、まだ正式リリースされておらず、ドキュメントも整備されていない状況なので、公開されている範囲でのASP.NET MVCのアーキテクチャについて簡単に解説します(図3)。

図3 ASP.NET MVCのリクエストフロー
図3 ASP.NET MVCのリクエストフロー

 URL Requestがあると、最初にUrlRoutingModuleオブジェクトがリクエストを受け取ります。

 続いて、HTTP handlerを継承したMvcHandlerがリクエストを解析し、Controllerクラス、とactionメソッドを特定します。そしてインスタンスを生成し、Actionを呼びます。

 MVCフレームワークはControllerのsuffix部分をURLルーティングで設定されたControllerカテゴリ部分に加えます。actionカテゴリは呼ばれるメソッド名です。actionメソッド内ではViewを作成するViewPageを指定して戻り値を渡します。この時、Controllerクラスは指定されたページのインスタンスを生成し、それを呼び出します。

 通常のASP.NETのリクエストフローとは大きく異なる点をしっかりと理解する必要があります。

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URLルーティング

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト ナオキ(ナオキ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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