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ASP.NET 3.5 Extensions + ASP.NET MVCフレームワーク

もう一つのASP.NET 「ASP.NET MVC」を知る(前編)

ASP.NET 3.5 Extensions + ASP.NET MVCフレームワーク


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ViewDataの利用方法

 MVCのもう1つの肝の部分としてViewDataが挙げられます。ASP.NET MVCはポストバックとViewStateから脱却し、ルーティングによるURLマッピングが行えるようになりました。それではControllerクラスからViewページにどのようにしてデータを渡すのでしょうか? ASP.NET MVCではUIとビジネスロジックを分離するキーとなるデータを「ViewData」と呼び、これを利用してデータの受け渡しを行います。

ViewDataの特徴

 ASP.NET MVCで利用されるViewDataはDictionaryクラスを継承した「System.Web.MVC.ViewDataDictionaryクラス」を利用しています。基本的な利用方法はDictionaryクラスと変わらないので、キーとデータを同時に指定することで、データを格納します。このViewDataを利用してControllerクラスからViewページへ渡すデータを紐付けることができます。

ViewData["Title"]
 ViewDataを設定する際に["Title"]のキーだけは特殊な扱いとなります。それはブラウザのタイトル文字列として表示させることができる点です。マスタページを利用している場合でもViewData["Title"]に指定するだけで容易にタイトル文字列を表示できます。
 

 また、ViewDataはModelから取得したデータオブジェクトを格納できるModelプロパティも持ちます。これにより、LINQ to SQLを利用したデータをViewDataに格納し、Viewページに表示できます。

PubsController.cs の一部
public ActionResult Titles()
{
    // ViewDataにキーと値を格納
    ViewData["Hello"] = "Hello, MVC Framework!";
    // Titleキーを利用するとブラウザのタイトルとして表示される
    // この場合はTitle Onlyが表示
    ViewData["Title"] = "Title Only";

    // titlesテーブルの中からroyaltyが10以上の項目を取得
    var pubs = from p in pubsdatacontext.titles
               where p.royalty > 10
               select p;

    // Viewについては後述第二パラメタに
    // ViewDataのModelを渡すことができる
    // Publisher.aspxページに、
    // 上記のLINQ結果をパラメタとしてルーティング
    return View("Publisher", pubs.ToList());
}

 URLルーティング・ViewDataはASP.NET MVCを扱う上で最低限必要なキモとなるので実際に触れる前にポイントを押さえましょう。

サンプルアプリケーションの作成

 さて、URLルーティングとViewDataという2種類のキモに関する解説も行ったので、実際にサンプルアプリケーションを作成してみましょう。今回は、URLルーティング・ViewDataの扱い方を学ぶためのチュートリアルなので、テスト部分は次回解説したいと思います。今回はサンプルデータベースとしてPubsを利用します。サンプルを実行する際には、記事内のテーブルを準備してください。

サンプルアプリケーションの目的と学習できる項目

  • ASP.NET MVCのソリューションを理解する
  • ルーティングルールを設定する
  • Controllerクラスの記述方法を知る
  • ControllerクラスでViewDataにデータを格納する
  • ViewPage上の表示方法を学ぶ
  • ViewPage上でViewDataに格納したデータを取り出す

プロジェクトの作成

 VS 2008でASP.NET MVCアプリケーションを作成します。[ファイル]-[プロジェクトの作成]-[Visual C#(Basic)]-[Web]-[ASP.NET MVC Web Application]を選択し、プロジェクト名を付け、[OK]をクリックします(図6)。

図6 新しいプロジェクトダイアログ
図6 新しいプロジェクトダイアログ

 プロジェクト作成時のソリューション エクスプローラは次のようになります(図7)。

図7 ASP.NET MVCの初期ソリューション エクスプローラ
図7 ASP.NET MVCの初期ソリューション エクスプローラ

 Model・View・Controllerフォルダが作成され、最低限の設定を行ったファイルが配置されています。それぞれ解説しながらアプリケーションを作成していきたいと思います。

 なお、作成されたプロジェクトはそのまま実行することができるので、初めてプロジェクトを作成した時に実行して確認してみてください。

次のページ
URLルーティングルールの確認・変更

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト ナオキ(ナオキ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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