PHPユーザ会が毎年夏に大田区産業プラザ(PiO)で開催しているPHPカンファレンス。9回目となる今年は、PHPのカンファレンスらしからぬ、PerlやRubyなどさまざまのプログラミング言語を代表する多彩なギークたちが壇上を賑わせた。
7月21日に開催された「PHPカンファレンス2008」では、午後のメインセッションに「激論! PHPの次に学ぶ言語はこれだ」と題したパネルディスカッションが開催された。パネラーとして登場したのは、PerlからShibuya.pmの竹迫良範氏、日本Rubyの会の高橋征義氏、日本Pythonユーザ会の柴田淳氏、JavaからはSeasarプロジェクトのひがやすを氏、そしてJavaScriptはあまちゃん(id:amachang)氏(Shibuya.js)という豪華な顔ぶれとなった。司会はPHPユーザ会の個々一番氏が担当した。
PHPは動的なウェブページ制作用のサーバサイド・スクリプト言語として歴史もあり、初心者から大規模開発を手がけるプロフェッショナルまで広い層に支持されてきた。しかし一方で、PHPユーザーにはPHPしか知らない(他のコンピュータ言語を利用したことがない)ひとが多いのではないかという批判にもさらされてきた。今回のパネルディスカッションは、そういう批判に応える形で、PHPユーザーが他の言語を学習する機会として企画された。
ただしパネルの冒頭、客席に挙手のアンケートをとったところ、実際にPHPしか使ったことのないユーザーはほんの数名で、ほかに利用している言語としては、PerlとJavaScriptではほとんどのユーザーが挙手をし、RubyとJavaも大半が挙手。Pythonでも半数ほどの手が挙がっていたようだ。ユーザーカンファレンスに足を運ぶ熱心なユーザーだからなのかもしれないが、PHPユーザーはPHPしか知らないということは決してないようだ。
どこでも動くPHPの便利さ
最初にパネラーひとりひとりが、PHPに対する印象を語った。
竹迫氏は、どのレンタルサーバーでも動くことのメリットをまず挙げる。Perlも動くが、Apacheとの連携面ではmod_perlを追加で入れなければいけないことが多く、デフォルトで連携されているPHPに長がある。XOOPSやOpenPNEなどコミュニティ系のキラーアプリも多く、それをカスタマイズすることで初心者がプログラミングに入っていくことができる。標準関数も充実しているので、追加のライブラリなどを複雑にインストールしなくとも、関数を組み合わせることでプログラムを制作できる。一方で、最初から手軽にできてしまうがゆえに、次のステップに進むモチベーションがほかに何か必要になっているのかもしれないと指摘した。
業務ではPHPをメインに開発しているという高橋氏は、着ていたRubyKaigiのTシャツを脱ぎ捨てると、下にPHPのタンクトップを着ているというパフォーマンスで会場を沸かせた。ただしPHPの言語設計については「端的にいってひどい」という。命名規則が一定していなかったり、他の言語を真似しただけのような文法まわりにはあまり独自性を感じないと語った。一方で、ウェブサービス開発言語として長く利用されてきたPHPには一日の長があり、Railsもほかのフレームワークもみんな「PHPのまね」をしようとしている。PHPから見ればRubyのプロセス制御は面倒であり、PHPではとっくの昔に解決されているようなことを、Rubyや他の言語はいま必死にやっているという。
柴田氏は、Pythpnはひとを選ぶ言語だが、PHPは「大衆向けの言語」という印象があるという。標準関数でなんでも解決できるため、デザイナーなど非プログラマーでもソースコードを触ることができる。ただし、そのためコードのクオリティが保てない弊害もあると指摘する。もっとも、それはモチベーションはあるが技術力がないひとを排除してしまわないように設計思想として「わざとやってる」という話もあり、表裏一体である。
「Flashが好きなんですけど」と切り出したひが氏は、Flashとつなぐサーバーサイドの開発を考えていたところ、PHPで最初にリリースされた。そのときからPHPには「Flashと親和性の高い言語」という印象があるという。会場でもPHPをFlashとつないで開発した経験があるひとを聞いたところ、2~3割の挙手があった。
あまちゃんは、JavaScriptコミュニティ(Shibuya.js)と比べてPHPには「やさぐれたひとが少ない」という印象を語り、PHPは「モテ言語」だと会場の笑いを誘った。レンタルサーバーではどこでもPHPが動くので、あまちゃん自身もPHPを使っていたこともあったが、そのときに「いやだ」と思った点は、ラムダがないことと、アロー演算子だったと語った。
次にパネラーが、それぞれ推奨する「PHPの次に学ぶべき言語」を発表した。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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