「仕様通り」なのにユーザーが動かない理由とは? エンジニアが押さえるべきUXライティングと検証ノウハウ
AIの出力に“デザインの視点”をプラスする ──エンジニアのためのUX改善入門 第3回
生成されたUIのハルシネーションを防ぐ、プロンプトと検証術
AIにUIを作成させると、機能の説明に忠実な文言や、必要以上に長い説明が生成されることがあります。画面全体へ一括で指示するよりも、エラーメッセージ、プレースホルダー、ボタンなど、見直したい箇所を個別に指定したほうが安全です。全体に適用すると、本来は詳しく説明すべき部分まで短縮される可能性があるためです。
見直したい箇所に対して使える効果的なプロンプト例は以下の通りです。
プロンプト例
この画面の文言を、UXライティングの観点で見直してください。
システムの状態を説明するだけでなく、ユーザーが次に取るべき行動を理解できる言葉にしてください。
システム都合や命令調の表現を避け、対象ユーザーと利用場面を踏まえてください。
エラー文言は「何が問題か」と「どう直せばよいか」をセットで伝えてください。
ボタン文言は「送信」「確定」などの処理名だけでなく、押すと何が起きるかが分かる表現にしてください。
説明は1行で簡潔にし、複数行の長い説明は避けてください。
ただし、「ユーザーの目的、メリット、次の行動が分かるようにしてください」とだけ指示すると、AIがその言葉を字面通りに受け取り、「この情報を入力するメリットは〜」と画面上で直接説明し始めることがあります。UXライティングで必要なのは、目的やメリットを文章として明文化することではありません。対象となるユーザーや利用場面を具体的に伝えたうえで、ユーザーが自然に次の行動を選べる文言になっているかを人間が確認することです。
また、AIに作成させた文言を同じ会話の中でそのまま評価させると、見落としが残る可能性があります。生成に使ったAIも開発したエンジニアも、コードや仕様をすでに把握しているため、多少分かりにくい文言でも意味を補って読めてしまうためです。
最も確実なのは、初めて画面を見る人に使ってもらい、「次に何をすればよいか分かったか」「迷った場所はなかったか」を確認するユーザーテストです。テストの実施が難しい場合は、作成に使ったAIとは別のモデルや新しい会話セッションに画面を見せ、何をすればよいか分からない箇所をレビューさせる方法もあります。最終的には実際のユーザーの反応を確認し、試行錯誤を重ねることが欠かせない点を心に留めておいてください。
この記事のまとめ
- UI上の言葉は、実装の添え物ではない
- 言葉次第で、ユーザーは動くことも止まることもある
- あなたが書く文言こそ、UXの重要な接点になる
UXライティングは、システムの状態を正しく説明するためだけの技術ではありません。ユーザーの目的や状況を想像し、次の行動を後押しするための言葉です。システム側の都合ではなく、あくまでユーザーの目線から考えることで、画面はより使いやすくなり、結果としてサービスを提供する側の目的も達成しやすくなります。
AIは、それらしい文言をすぐに生成してくれます。しかし、その言葉が本当にユーザーを動かすかどうかを判断できるのは、画面の目的とユーザーを理解している人間です。AIの提案をそのまま正解とせず、自身が抱いた違和感を信じてください。そのうえで、実際のユーザーの反応も確かめながら、一つひとつの言葉を見直してみてください。
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折原レオナルド賢(オリハラ レオナルド ケン)
株式会社サイバーエージェントに新卒入社し、新人賞を受賞。LINEビジネスコネクトAPIやAIカスタマーサポートプロダクトの開発に携わり、インフラ設計、フロントエンド開発、デザイン、UI/UXなど幅広い領域を経験。その後、LINE株式会社にて、7,500万MAUを超えるLINE NEWSのフロントエ...
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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