「仕様通り」なのにユーザーが動かない理由とは? エンジニアが押さえるべきUXライティングと検証ノウハウ
AIの出力に“デザインの視点”をプラスする ──エンジニアのためのUX改善入門 第3回
最近では、エンジニアがデザインをAIで生成してそのまま実装に落とし込むケースが増えています。しかし、その際に直面するのは、見た目は整っているのにUI/UXが機能せず、サイトが想定通りに使われないという問題です。本連載ではそんなエンジニアのために、UXを改善するヒントを株式会社Faciloのフロントエンドエンジニアであり、ZEN大学客員講師を務める折原レオナルド賢が指南します。第3回のテーマは「UXライティング」です。ボタンや入力欄に書かれた「検索」や「確定」という言葉は、どれも機能やシステムの状態を正しく表していますが、それだけではユーザーの行動を引き出せないことがあります。UI上の言葉を、単なる説明から「次の行動を設計する言葉」へ変えるにはどうすればよいのでしょうか。具体例を通じて、AIが生成した文言を見直すポイントを解説します。
「仕様通り」の文言がユーザーの行動を止める理由
旅行サイトの検索欄のプレースホルダーに「行きたい場所を入力」と書かれているのを見たことがありませんか。入力する内容は明確で、機能としては何も間違っていません。そのため、エンジニアや生成AIはこのような文言を設定しがちです。
しかし、ユーザーがそのサイトを訪れる際、必ずしも行き先を決めているとは限りません。目的なくページを開いた人にとって、「行きたい場所を入力」は正しい指示ではあっても、行動を起こすきっかけにはなりにくい言葉です。
例えば、「今週末はどこに行きたいですか」と問いかけられれば、「そういえば今週末は三連休だった」と、まだ明確でなかった目的を思い浮かべやすくなります。UXライティングでは、入力欄の機能を説明するだけでなく、ユーザーが何のためにそこへ来たのかを推測し、まだ目的がはっきりしていないユーザーにも次の行動を促します。
UXライティングが不十分でも、すぐにエラーや障害が起きるわけではありません。しかし、目的もなく訪れたユーザーの行動を引き出せず、長期的には再訪や利用の機会を逃す可能性があります。
生成AIにとってUXライティングが難しい理由は、ユーザーに画面上でどう感じてもらい、どんな行動を取ってほしいのかを判断できないためです。AIは入力欄やボタンの機能を理解できても、人間の感情や行動目的までは仕様として明示されない限り汲み取れません。「検索欄を作ってください」とだけ指示すれば、AIは「検索」「キーワードを入力」といった機能に忠実な言葉を返します。ユーザーの目的まで踏まえた文言にするには、その背景を人間がAIに伝える必要があります。
仕様の説明から「行動の誘発」へ変化させるUXライティングの本質
UXライティングとは、UI上の言葉を通じて、ユーザーが迷わず行動できるようにすることです。対象には、ボタンラベル、エラーメッセージ、プレースホルダー、入力欄が空のときの表示、確認メッセージなどがあります。


「登録」→「無料でアカウントを作成」
「エラーです」→「メールアドレスの形式を確認してください」
「確定」→「この内容で予約する」
UXライティングは、意味を簡潔に説明したり、平易な文章を書いたりすることだけを指すわけではありません。大切なのは、言葉によって行動を引き出すことです。使い方が分かっているユーザーに対しても「その人が本当にやりたいことは何か」を想起させ、次の行動を促します。
そのため、適切な文言はボタンの場所や機能だけでなく、ユーザーが何をしようとしているのか、その場でどのような行動が必要なのかによって変わります。UXライティングに万能な定型文はありません。必要なのは言葉の巧みさではなく、「この人は今、何をしようとしているのか」を想像する力です。
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折原レオナルド賢(オリハラ レオナルド ケン)
株式会社サイバーエージェントに新卒入社し、新人賞を受賞。LINEビジネスコネクトAPIやAIカスタマーサポートプロダクトの開発に携わり、インフラ設計、フロントエンド開発、デザイン、UI/UXなど幅広い領域を経験。その後、LINE株式会社にて、7,500万MAUを超えるLINE NEWSのフロントエ...
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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