皆さん、ジェンガというゲームをやったことありますか? 積み木の1つを引っこ抜いて一番上に乗せていく。順番にこれを繰り返し、崩れたら負け。技術におけるジェンガ現象とは……。
相対常識
今回から相対常識について触れていきたいと思います。相対常識。ある限られた条件下で通用している、本質から離れたものと以前説明しました。では、相対常識はどのようにして生まれるのでしょう?
相対常識の要因1:閉鎖
1つが「閉鎖」です。ある組織や仲間、個人の場合もあります。そこだけで信じられているしきたりのようなものです。そこのリーダー的立場の人が言ったことがルールになります。メンバーはそれがさも世の中の常識であると信じてしまっている状態です。
相対常識の要因2:模倣
もう1つが「模倣」です。あるトレンドを模して「じゃあこれにも採用してみようよ」と似せた設計をしたりします。例えばコピー機。紙サイズや倍率、濃さの切り替えは、見たままに切り替え操作をしたいものです。しかし時代によってDOSアプリに似せたり、Windowsのウィザードに似せたりということが起こります。使い慣れたものに似せるという考え方は分かりますが、それが必ずしもコピー機に適していると言えるでしょうか。
相対常識の要因3:変遷
もう1つに「変遷」があります。新しい概念がある条件下で受け入れられ、広まり、定着する相対常識です。
クライアントOSはWindowsが常識と思われていますが、Mac OSだってあるわけです。CPUはインテル製だけではなくモトローラー製もあります。Wordの前は一太郎が常識と思われてました。その横には松やJG等がありました。VHSとベータもそうですね。
企業努力も当然ありますが、様々な条件の下、拡大し、相対常識化する現象です。これらの例は変遷初期のゴタゴタを過ぎてしまえば、デファクトスタンダードに落ち着きます。真剣に考えたいのは変遷がもたらす「ジェンガ現象」なんです。