「他言語の統合開発環境では、できて当たり前のことをできるようにしただけ」-PHP向け統合開発環境「Delphi for PHP」の開発者であるホセ・レオン氏はこう答える。開発者自身が勧める製品の機能は何か、またPHP向け統合開発環境の開発者になった経緯などをDevelopers Summit 2009の会場にて聞いた。
Delphi for PHPとは
Delphi for PHPは、エンバカデロ・テクノロジーズが販売しているPHP向け統合開発環境(IDE)。2007年よりエンバカデロとパートナーシップを結んでいるqadram software社が開発している。レオン氏はqadram software社CEO、そしてDelphi for PHPのチーフアーキテクトとして同製品の開発を指揮している。
現在、開発者はレオン氏を含め4名。テストやドキュメント作成、販売についてはエンバカデロが担当している。
Delphi for PHPはもともとコードギア社の商品だったが、昨年、エンバカデロがコードギアを買収したことにともない、エンバカデロの製品ラインナップに加わった。
統合開発環境と言えば、MicrosoftのVisual Studio、Java用IDEのEclipseなどがある。Delphi for PHPもこういったIDE同様、優れたエディタや、ファイルエクスプローラー、デバッグ機能などを備えており、PHP向けIDEとして海外では多くの支持を集めている。最新版はDelphi for PHP 2.0で、各代理店やAmazonなどを通じて販売されている。なお、体験版はエンバカデロのWebサイトで配布されており、誰でも無償で評価することが可能だ。
VCL for PHP
「Delphi for PHPおすすめの機能は?」と聞いて、レオン氏が真っ先にあげたのがVCLだ。
VCLとは「VCL for PHP」というPHP向けフレームワークのことで、多くのフレームワークと同じく、PHPアプリケーション開発の効率性を高めることができる。このフレームワーク最大の特徴が、Delphi for PHP上で使用すると、GUIを利用したビジュアル開発が可能になるように設計されている点だ。Delphi for PHPはVCL for PHPと組み合わせて使うことで、ビジュアル開発をはじめとしたさまざまな機能を最大限活用できるようになっている。
最新版のDelphi for PHPでは、これまでのフォームデザイナだけでなく、HTMLデザイン、HTMLテンプレートデザインなどについても、WYSIWYGで開発できるようになっている。
PHPアプリケーションの場合、ほとんどがWebサービスで使われるため画面設計が必須となる。しかし、PHPを得意としないWebデザイナーがプログラミングを求められる場面も少なくない。「VCLを使うことで、PHPを理解している人はもちろん、HTML・CSSだけわかっている人でも気軽にアプリケーションを作成することができます」(レオン氏)。
なお、Delphi for PHPはGNU LGPLライセンスでエンバカデロが公開しているオープンソースであり、商用利用も可能になっている。