JPEG色変換工程
JPEGでは、圧縮工程の最初に「画像の色表現の変換」を行います。JPEG(JFIF)では、カラー画像を表現するのに「YCbCr」という表現方法を用います。一方、PCやデジカメでは一般に「RGB」という表現方法を用いることが多いので、JPEGフォーマットにするためには色表現の変換が必要になります。この変換についての説明は、「人間は輝度(Y)には敏感だが色差(Cb, Cr)には鈍いので、色差成分を間引くことで圧縮を行う」という一文で終わっていることが多いと思います。確かにその説明の通りなのですが、ここではもう少し掘り下げて見ていきます。
「色」とは何か
人間の眼の網膜には、「L・M・S錐体(すいたい)」という色を感じる3種類のセンサ(視細胞)があります。「桿体(かんたい)」と呼ばれるセンサもありますが、こちらは輝度のみを感じる細胞なので、ここでは取り上げません。 L・M・Sの3種類の錐体センサは、それぞれおおよそR・G・Bの色域を担当しています。全体では波長が380nm~780nmの電磁波に反応し、その強度に応じて神経へ信号を出します。この波長区間を「可視光」と呼びます(図1)。380nm~780nmという領域は、太陽光の波長分布(分光強度分布)のうち、最も豊富に存在する光の波長領域に合致します(図2)。これは、人間が太陽に合わせて進化してきた結果と言えるでしょう。


L・M・S錐体は、それぞれ図3のように担当領域が重複しつつ分かれています。それぞれの錐体からの反応は、双極細胞→神経節細胞→視神経を経て大脳へ送られ、最終的に大脳の中でそれを「色」として認識します。錐体から信号が発せられた後、色として認識されるまでの情報の伝達内容や変換の仕組みは、今もなお一部分しか解明されておらず、大部分がブラックボックスのままです。

つまり、色は感覚であり、光に色がついているわけではありません。大脳が色として認識しているだけです。そして、人間には光を感じるセンサが3種類しかありません。光の波長分布としては無限の組み合わせがある中で、3種類のセンサの反応だけを取り入れ、頭の中で色として感じているのです。
事実、鳥類や昆虫の中には、紫外線領域も見えるようなセンサを備えていたり、4種類のセンサを持っている種もいるそうです。逆に、人間とサル以外の哺乳類の多くはセンサが2種類しかありません。「見ている」世界というのは、種によってかなり違うことがあるわけです。
