通信コネクターの規格
実際につなぐためには、ケーブルが必要です。もともとのRS232Cのコネクターは25個ピンのあるコネクターが使われていました。それぞれのピンには信号名があり、どう使うかの規格が決められていました。しかし、実際には使われない信号も多く、コネクターも大きいので、だんだん9個のピンのコネクターに変わっていきました。現在パソコンについているシリアルインターフェイスはこの9個のピンのコネクターがほとんどです。
イメージ図のコネクターの主なピンの意味は次のようになります
ピンの番号 | 名称 | 意味 |
2(RD) | (Receive Data) | 受信データ |
3(SD) | (Send Data) | 送信データ |
4(DTR) | (Data Terminal Ready) | データ端末レディ |
5(GND) | (Ground) | アース |
6(DSR) | (Data Set Ready) | データセットレディ |
7(RTS) | (Request To Send) | 送信要求 |
8(CTS) | (Clear To Send ) | 送信可能 |
AパソコンからBパソコンへデータを通信する場合の信号の流れは、次のとおりです。
- まずAパソコンからDTR(信号を送る通路が使えます)をONにします。BパソコンはDSR(私も準備OKです)をONにします。
- 次にAパソコンはRTS(データを送ってもよいですか)をONにします。BパソコンはCTS(送ってもらって大丈夫です)をONにします。
- これで準備が整いました。AパソコンはSDから信号を送ります。BパソコンはRDから信号を受け取ります。
以上の説明からすると、信号線3本では送受信できそうにありません。もしAパソコンがDTRを出してDSR待ちの時、自分が出した信号線がそのままDSRにつながっているとAパソコンはDSR信号を相手から貰ったと思い次のステップへ行きます。RTSも同様に自分が出した信号をそのままCTSにつなぐと送信可能と思い次のステップへ行きます。相手からの通信待ちで止まってしまうことなく接続開始ができるようになります。
そこで、ケーブルを作る時、4:DTRと6:DSRのピンを自分のコネクターの中でつなぐのです。7:RTSと8:CTSもつなぎます。これで接続開始の処理は自分のパソコン側のみでできるようになりました。そうするとあと必要な信号は2:RD、3:SD、5:GNDの3本になります。
Aパソコンの2:RDとBパソコンの3:SDをつなぎ、Aパソコンの3:SDとBパソコンの2:RDをつなぐので信号線をクロスさせることからクロスケーブルと言います。
今までのデスクトップパソコンのインターフェイスにはシリアルコネクターが付いていました。現在では付いているパソコンは珍しくなっています。
代替としてUSBが使用されるようになってきています。現在はUSBのコネクターにさすケーブルと、ドライバーCDがセットになって売られており、ドライバーを入れるとそのケーブルでシリアル通信ができるようになります。
どんなものに利用されているか
計測や制御関係では、この通信方法はよく使用されています。
パソコンというより、マイコン(マイクロコンピュータチップ)ができて、マイコン同士の通信手段として広く使用されるようになりました。
マイコンチップに組み込まれているため、手順が組みやすく、通信内容と通信方法が分離しているため、導入しやすかったのだと思います。
パソコンとつないでデータを設定し、実際の測定や制御の時はパソコンから離して行い、測定や制御が終わってまたパソコンとつなぎ、データをパソコン側へもらうようなものによく利用されます。
以下実際に使われている制御機器の一部を紹介します
(1)二足歩行ロボット(おもちゃ)
今流行の、市販されている二足歩行ロボット(おもちゃ)を設定するのに、USBケーブルにつないで行うものもあります。設定ソフトをインストールするとき、RS232Cドライバーもインストールされ、シリアル通信ができるようになります。まずつないで、設定ソフトを立ち上げロボットの動きを指令します。座ったり立ち上がったり、踊ったりとそのロボットの性能により、面白い動きをさせることができると思います。ケーブルをつけたまま動かしても良いのですが、ケーブルをはずして動かすとよりおもしろいと思います。
(2)地震体験装置
地震の形はいろいろあります。また、関東大震災なみの地震や阪神・淡路大震災の地震を体験したいなどの要望があると思います。複数の地震の形式を体験装置で持っているのは大変です。そこでパソコンの出番です。パソコン側にそれぞれの地震の形のデータを覚えさせておきます。実際に体験する場合、どの地震を体験したいかを選んでもらい、そのデータを地震体験装置にシリアル通信で送信します。送信した後、スタート指令を出します。ここから地震体験の始まりとなります。
(3)バスやタクシーの速度や動いた時間帯を測定する機械
機械は車に取り付けてあります。朝、車が動き出すと測定がはじまります。時間と速度、加速度が測定されデータが保存されます。一日の終わりにその機械をパソコンにつなぎ、シリアル通信でデータを吸い上げます。複数台の車のデータをパソコンで比較したり、一番動いている時間を調べたりすることができます。
(4)光ファイバーケーブルのトンネルの曲がり角度を測定して送れるか確認する機械
インターネットの通信でも光ファイバーケーブルは不可欠です。同じケーブルでもこの光ファイバーケーブルはある角度以上曲げると通信することができません。トンネルを掘ったあと、この角度検査をやっておかないと、光ファイバーケーブルを入れてしまって「通信ができませんでした」では完成が遅くなってしまします。ここで登場するのが、この機械です。まずパソコンとつないで(RS232Cケーブルで)機械のほうに、取り込み条件(何ミリ秒間隔でとるか、取り込み最大データ量など)を送り、計測開始させます。機械をパソコンから外して、トンネルの中へ、一定間隔で、巻き取りながら出口へ進みます。測定終了後パソコンとつなぎ測定データを吸い上げます。吸い上げられたデータはパソコン側で計算し、トンネル内の角度を表示させます。
分野がばらばらですが、例を挙げてみました。特に制御機器をワンボードマイコンで作成しようと考えたときの通信手段としては、このRS232Cがよく使用されています。