はじめに
いよいよGrailsを使ってみることにしましょう。Grailsはコマンドを使ってアプリケーションの骨格を作っていきます。基本的なコマンドの役割と、そして生成されるプログラムファイル類、それらがGrailsのアプリケーションでどのような役割を果たしているか、といった基本的な事柄について説明をしていきましょう。
対象読者
- JSPを書くのは正直しんどい……と近頃感じる人。
- Ruby on Railsスタイルの開発に興味があるという人。
- MVCフレームワークをJavaで学びたい、という人。
Grailsの入手とインストール
Grailsの記述言語「Groovy」の基本的な使い方については前回大体頭に入れることができました。今回は、いよいよGrailsに挑戦してみましょう。まずはGrailsを入手します。GrailsのWebサイトからダウンロードすることができます。
本稿執筆時点では、1.1が最新版となっています。配布形式は圧縮ファイルになっています。zipとtar/gzの2つ(それぞれバイナリとソース)がアップロードされていますので、Windowsユーザーであればzipのバイナリファイルをダウンロードすればよいでしょう。
ダウンロードした圧縮ファイルを展開すると、「grails-1.1」というフォルダが作成され、ここにGrailsのファイルが保存されます。このフォルダをハードディスクの適当な場所に配置をします。ここではフォルダ名を「Grails」と変更し、Cドライブ直下に配置することにします(つまりフォルダのパスはC:\Grailsとなります)。
続いて、環境変数を追加します。システムの環境変数に、新たに「GRAILS_HOME」という変数を作成し、これにGrailsのパス(ここではC:\Grails)を値として設定してください。そして、PATHシステム環境変数に、「%GRAILS_HOME%\bin」をセミコロンで区切って追加します(既存の値を消さないように注意してください)。Grailsのインストールは、たったこれだけです。
アプリケーションを作成する
では、難しいことは後回しにして、ともかくGrailsでWebアプリケーションを作ってみることにしましょう。Grailsは、コマンドプロンプトから実行するコマンドを使って基本的なプログラムの作成を行います。まず最初に作成するのは、「アプリケーション」です。これはGrailsのプログラムの最も基本となる単位です。Grailsで開発を行う際には、まずこのアプリケーションを作成し、そこにさまざまなファイル類を追加する、という流れになります。
では、まずユーザーのホームディレクトリに「grails_apps」というフォルダを作成してください。このフォルダの中に、Grailsのアプリケーションを作成していくことにしましょう。フォルダを用意したら、コマンドプロンプトを起動してください。そして、cdコマンドでこのgrails_appsディレクトリに移動し、次のようにコマンドを実行します。
grails create-app gapp
これは、「gapp」というアプリケーションを作成するものです。GrailsでWebアプリケーションを作成する場合には、まずWebアプリケーションを作成する場所にカレントディレクトリを移動し、「grails create-app アプリケーション名」とコマンドを実行します。これで、その場所にWebアプリケーションのプログラム類が作成されます。なお、最後に「hibernateをアップグレードするか」とたずねてくる場合があります。その場合はそのまま「y」を入力してください。
コマンド実行後、「grails_apps」フォルダの中を見てみましょう。「gapp」というフォルダが作成されているはずです。これが、Webアプリケーションのフォルダです。この中に、アプリケーションに必要なファイル類がすべて保存されています。