近い将来PCは消えてなくなり、コンテキストの意識が必要になる
途中、ゲストスピーカーとして、大阪大学大学院の川崎和男教授が「コンピュータが消える日」と題し、今後必要とされるユーザーインターフェースデザインのあり方について講演した。
川崎教授は「OSの競合による経済の呪縛性は終わりを遂げ、近い将来、机の上にモニターやキーボードを置いて使うコンピュータは消えてなくなるだろう。そこから我々は新しいデジタルツールに日常性を委ねていく。個人的にはOSとWiFi(無線LAN)が融合し、ソーシャルインフラストラクチャになると考えている」と主張した。詳細は割愛するが、それを予見させるキーマンとして、ムーアの法則で知られるGordon More氏、DNSサーバーのBINDで有名なPaul Vixie氏、『City of BITS』を著作した建築家のWilliam J. Mitchell氏の3名を挙げている。どれも現在のネットワーク環境やネットブックの普及、クラウドコンピューティングへの流れを示唆するものだ。
なお、興味のある方は、後日Jストリームが公式サイト上で講演映像のストリーミング配信を行う予定なので、そちらを参照するとよいだろう。公開は8月中旬~2010年1月を予定している。
また、日本で使われているIT(Information Technology)という用語には欠けているものがあり、おそらく今後のクラウドコンピューティングの世界では「Information(情報)」に加えて「Intelligence(策略)」「Knowledge(知見)」「Consciousness(意識)」が一緒になったものが必要とされるという。その流れの中でウェブはどうなっていかないといけないか。まずタイプがいくつか分けられ、「Book-Intend Type(コンテンツをどう表すか)」「Menu Type(メニュー形式)」「Cockpit Type(どこをどう操作すればどういう情報が飛んでくるか)」「Map Type(地図形式)」「Tag Type(タグ形式)」「Flag Type(最近の若いウェブデザイナーが行う目を見張るもの)」等が考えられる。しかし、最終的にはいわゆる普遍的なコンテンツではない、コンテクストのプロシージャ、受け取る人や状況によって価値が変化する情報を作っていく手続きの部分が絶対に必要となると強調した。
最後に、これらを受けて川崎教授は「雲の上には、見えないWebがストラクチャーとなり、私たちの目の前から、コンピュータがやがて消えるだろう」と結んだ。
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