マイクロソフトは16日、ウェブ開発者/デザイナーを対象としたイベント「ReMIX Tokyo 09」を開催した。ユーザーエクスペリエンス(UX、ユーザー体験)の向上をテーマに、同社のリッチインターネットアプリケーション(RIA)技術「Silverlight」や、デザインツールスイートの「Expression Studio」を軸にした、事例や最新情報が紹介された。
基調講演では、ScottGuとしても知られる米マイクロソフト社のスコット・ガスリー氏が登壇し、「美的感覚や操作感、機能性を組み合わせたUXは非常に強力だが、構築プロセスが複雑化してしまうのが一番の課題だ。SilverlightやExpression Studioでは、投資効率や開発生産性を考え、開発プロジェクトが最高のものを提供して成功できるようにサポートすることを目指している」と述べた。
Silverlight 3では何ができるの
マイクロソフトの春日井良隆氏は、今月11日に提供を開始した「Microsoft Silverlight 3」(以下、Silverlight 3)の概要を説明した。
なお、開発ツールとして、「Microsoft Visual Studio 2008 Service Pack 1用 Silverlight 3 Tools 日本語版」「Silverlight 3 ソフトウェア開発キット 日本語版」の提供が本日16日から始まっている。Silverlight 3に対応した「Microsoft Expression 3 日本語版」は2009年秋に提供開始予定。
Silverlight 3では様々な機能が強化されているが、まず映像配信面では、H.264、AAC、MPEG-4等の映像・音声コーデック、RawビットストリームAPIによるオリジナルコーデックでの再生をサポートした。IIS 7.0のサービスとして動作する「Smooth Streaming」(視聴者のCPUや帯域環境に応じて映像品質を可変配信する技術)や、「Live Smooth Streaming(ライブ中継版)」にも対応する。
RIA用途では、画面切り替えの演出などで使える「擬似3D」、赤目補正など画像を直接修正できる「ビットマップ&ピクセルAPI」、ぼかしや色反転といった効果を静止画・動画・コントロールに適用できる「シェーダーエフェクト」等の機能が拡張された。また、Deep Zoomやテキスト表示のパフォーマンスも改善されている。
アプリケーションを作成する上でも便利になっており、60以上の新しいUIコントロールの追加、ディープリンク、サイトマップの自動生成、マルチタッチのサポート等が行われた。スクリーンリーダーへの対応といったアクセシビリティ面も配慮されている。
また、ブラウザ外での動作もサポートするようになり、自動更新の仕組み、ネットワーク接続の検知と併せて、デスクトップアプリケーションとしての用途も広がった。
データ連携では、ローカルのアプリケーション同士がサーバーを介さず直接やりとりできる「ローカルネットワーキング」、バリデーションエラーのUIテンプレート、バイナリXMLデータによるデータ通信速度の向上、n階層システムの構造を単純化する「.NET RIA Services」対応等が行われている。
Silverlight 3の適用事例として、ヤフーのYahoo!オークション用のデスクトップアプリケーションや、SBI証券のFXチャートなどが紹介された。
Expression Studio 3のプレビューも紹介され、Expression Blend 3の「SketchFlow」によるプロトタイピング機能でモックアップを簡単に作成できたり、Expression Web 3の「スーパープレビュー」で、異なるウェブブラウザ間のプレビューを同一画面で比較したりする様子が確認できた。