現時点での問題点
インストールから実際の利用まで一通りの内容を確認してきましたが、その過程ではいろいろと疑問に思われたことも多かったのではないでしょうか? この節での内容は著者の主観的内容になりますが、現時点でのPS Connectorの問題点を整理しておきたいと思います。
情報が限りなく少ない
PS Connectorに関する情報はCodePlexのサイトにあるInstall Guideなどのドキュメントの他は、フォーラムなどのやりとり程度しか情報がありません。もちろん日本語で書かれたものもありません。さらに、ドキュメントはTFS2005用のPS Connector作成時に作られたもので中に記載されている情報も古いままとなっています。また、実際に使用している最中に表示されるエラーメッセージに関してもかなりいい加減で、実際にはイベントログに出力されるExceptionの詳細情報からあたりをつける作業が必要になり、非常に手間がかかります。
基本的には英語版専用
PS Connectorは基本的には英語版TFS専用です。そのため、本稿でもいくつかのポイントで日本語版に対応させるための手を打ってきました。ただし、最初に述べたとおりこれらの方法は著者のトライアル&エラーの結果によるものです。つまり、きちんとしたパブリックな情報があるわけではありません(かといって英語以外で利用できないと記載があるわけでもありませんが)。故に日本語版TFSでPS Connectorを利用するには、今回以外にも対処が必要になるケースがでる可能性があり、その場合にはかなりの根気が必要になってきます。
PS Connectorの将来
悪い話ばかりが続きましたが、将来においては実はそんなに悪い話ではありません。というのも、現時点ではCodePlexで公開されているものでしかありませんがが、もうすぐ登場する予定となっているVSTS2010では、Project Serverとの連携機能がもともと備わったものとして登場する予定になっています。製品の一機能としてきちんとサポートされることで、ここで列挙した問題点もそのほとんどが解消されてくるのではないかと期待できますし、それ以上に強化されて登場してくる可能性も持っているはずです。基本的なコンセプトはもとより、大まかな使い方もさほど変わらないのであれば、本稿を通して見てきた内容も決して無駄ではないでしょう。
このような可能性を感じている理由についても少し補足しておきます。現在、TFSにはTSWA(Visual Studio Team System Web Access)と言われる、WebサイトからTFSが管理している作業項目やソースコード、ドキュメント類を参照、編集できるようにするための拡張機能が提供されています。TSWAについては「Visual Studio Team System Web Access」を参照してください。TFSを使う大多数の人は開発者で、故にTeam Explorerを介して接続することがほとんどだと思いますが、普段は開発をメインの仕事にしていないマネージャーなどには非常に便利な機能です。もともとはTeamprise社が開発していたものだったのですが、CodePlexを使ったコミュニティーベースの提供に変わり、現在ではMicrosoftからの提供と移り変わってきました。この過程で機能の強化や細かい改善が行われ、より使いやすくなっていきましたが、基本コンセプトや大まかな使い勝手については当初から変わらず受け継がれています。このような例があるため、PS Connectorについても同様の変遷を期待することはまったくかけ離れたことではないはずです。
まとめ
2回に渡ってProject Server 2007 VSTS Connectorの使い方について見てきました。表面的な部分では単なる連携ツールですが、その裏で動いている要素要素の部分ではTFSを動かすための、またTFSを運用するための特に作業項目まわりに関するさまざまな知識が要求されていることがよく分かります。
これだけでTFSを極めることは到底かないませんが、PS Connectorを自力で動かすことができれば、既にTFSについて十分深い知識を得ていると言っても過言ではありません。ここにいきつくため、本シリーズではかなりの回に渡ってTFSの作業項目を中心にさまざまな観点から見てきました。難しい内容が並びましたが、今後ますます機能強化されていくTFSを知り尽くすための一助になれば幸いです。