はじめに
もともとSilverlightはブラウザーのプラグインとして動作するため、Silverlightで作成されたページを観覧するには、Silverlightを観覧するWebブラウザーとWebサーバーに接続できるオンライン環境が必要でした。
しかし、Silverlight 3では、ブラウザー外実行(Out-Of-Browser)と呼ばれる新機能により、Webサーバーにつながらないオフライン環境で、IEやFirefoxといったブラウザーの外でSilvelrightを動作させる機能が追加されています。
今回は、Silverlight 3のブラウザー外実行について詳しく触れていきます。
今回使うプロジェクト
今回作成するサンプルのファイルはこの記事に添付していますが、同様のプロジェクトを新しく作成する場合には、Visual Studioの[メニュー]-[ファイル]-[新規作成]-[プロジェクト]から「Silverlightアプリケーション」を選択し、プロジェクト名に「CodeZineOffline」と入力してください。
新しいSilverlightアプリケーションのダイアログでは、「Silverlightアプリケーションを新しいWebサイトでホストする」を選択し、[OK]ボタンをクリックしてプロジェクトを作成します(図1)。
ブラウザー外実行(Out-Of-Browser)
ブラウザー外実行はSilverlight 3の目玉機能の一つで、SilverlightアプリケーションをIEやFirefoxといったブラウザーの外で動作させたり、それに伴ったAPI群(ネットワークの切断検知や、アプリケーションのインストール、バージョンチェックなど)を提供します。
外国のSilverlight関連の記事ではOut-Of-Browser(OOB)という名前で検索すると多くの記事がヒットします。
Visual Studioでのブラウザー外実行の設定
さっそくSilverlightアプリケーションに対し、ブラウザ外実行の設定を行ってみましょう。Silverlight開発にVisual Studioを使っている場合は、設定はとても簡単です。
Silverlightプロジェクトのプロパティーを開き、Silvelrightタブにある「アプリケーションのブラウザー外実行を有効にする」のチェックボックスをONにするだけです。
そのまま実行しても良いのですが、あまりにものっぺらぼうだとよく分からないので、リスト1のようなXAMLを記述しておきましょう。
<UserControl x:Class="CodeZineOffline.MainPage" xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation" xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml" xmlns:d="http://schemas.microsoft.com/expression/blend/2008" xmlns:mc="http://schemas.openxmlformats.org/markup-compatibility/2006" mc:Ignorable="d"> <Grid x:Name="LayoutRoot"> <StackPanel> <TextBlock Text="ブラウザー外実行の確認" /> <StackPanel Orientation="Horizontal" > <TextBlock Text="ブラウザー外で実行されているか:" /> <TextBlock x:Name="ブラウザー外で実行されているか" /> </StackPanel> <StackPanel Orientation="Horizontal" > <TextBlock Text="ネットワークの状況:"/> <TextBlock x:Name="ネットワークの状況" /> </StackPanel> <StackPanel Orientation="Horizontal" > <TextBlock Text="実行モード:"/> <TextBlock x:Name="実行モード" /> </StackPanel> <StackPanel Orientation="Horizontal"> <Button Content="アプリケーションのインストール" /> <Button Content="アプリケーションの更新" /> </StackPanel> </StackPanel> </Grid> </UserControl>
Visual Studioで[F5]ボタンを押して、デバック実行でしてみましょう。
まだプログラム側のコードを記述していないので、実行モードやネットワークの状況といったテキストは空のままですが、右クリックをするとコンテキストメニューの「Silverlight」の下に「このコンピューターにCodeZineOfflineアプリケーションをインストールします...」のメニューが追加されていることに気が付くと思います(図3)。
インストールをクリックすると図4のダイアログが表示されます。
チェックボックスでどこにアプリケーションへのショートカットを配置するかを選択して[OK]ボタンをクリックし、アプリケーションをブラウザー外で実行できるようにしましょう。
インストールが完了すると、ブラウザーとは別に図3のウインドウが起動し、先ほどインストールしたアプリケーションがブラウザー外で実行されたのを確認できると思います。また、スタートメニュー(チェックボックスで選択した場合はデスクトップにも)にアプリケーションのアイコンが登録され、先ほどのアプリケーションを起動できるのも確認できます(図5)。