はじめに
Yahoo! JAPANでは、地域・生活圏情報の流通を目的とした情報基盤である「Yahoo! Open Local Platform(略称:YOLP)」を作っています。
2010年3月、Yahoo! Open Local Platform(略称:YOLP)のAPIが初めて公開されてから、1年が過ぎました。この間、APIは次々と追加公開され、公開されたAPIの機能増強も随時行われました。また、2010年11月には、YOLPカセットギャラリーとローカルサーチAPIが公開され、YOLP構想の全体像を、より具体的な形で示すことが可能となってきました。
本連載では、「YOLP Hacks」と題して、開発者から見えるYOLP、あるいは、YOLP APIの利用方法をお伝えしていきます。
デブサミ2011での講演
デブサミ2011では、「次世代ジオロケーションサービスの開発手法」と題して、昨今盛り上がりを見せている位置情報系のトピックをテーマとして、現況、課題、Yahoo! JAPANとしてそれらをどのように解決していくのかについて、佐藤からお話しさせていただきました。
しかし時間の都合上、実際に開発に直接関わる部分、つまりAPIの紹介や、サンプルコードの解説などが、十分お話しできませんでした。
今回は、YOLPの全体像に触れつつ、デブサミ2011で語りつくせなかった内容をフォロー解説します。
開発者から見た、YOLP API群
YOLPは、「地域・生活圏情報の流通を目的とした情報基盤」と位置付けられているため、多種多様な観点があり、見る人や、YOLPへの関わり方によって、違った形に見えてきます。
本稿では、開発者、コードを書くデベロッパーから見て、現時点で、実際に何ができるのか、使えるテクノロジについて紹介します。
YOLP API群:3つの分類
YOLP API群は、大きく3つに分けられます。
- 地図を表示するAPI
- 検索するAPI
- ユーティリティ的なAPI
また、これらのAPIは、機能面で、お互いに重なり合ったりつながりあったりしています。例えば、地図を表示するAPIには、検索系のAPIが簡単に利用できるようなプラグインやコントロールが既に用意されています(プラグインやコントロールは、誰でも自由に追加開発することが可能です)。
ストレージを操作するツール ~YOLPカセットギャラリー~
YOLPの裏側には、位置情報、地域情報を入れる巨大なストレージが存在します。このストレージを操作するツールとして、YOLPカセットギャラリーが公開されています。
Yahoo! JAPANがパートナー企業から提供を受けたオフィシャルカセットや、投稿され公開されたカセットのデータを、自由に組み合わせて使うことができます。
また、YOLPカセットギャラリーでは、選択したカセットデータを利用するための、カンタンなサンプルコードが取得でき、開発効率をあげることができます。
また、自分でYOLPカセットギャラリーへアップロードしたデータも、ID番号(カセットID:cid)を指定することにより、ローカルサーチAPIで検索できます。
マルチデバイス対応
YOLPは、急速に普及しつつあるスマートフォンやスレートPCへの対応を前提としています。特に、iPhone、iPad、Androidに対しては、アプリ開発にYOLPをカンタンに組み込めるよう、SDKを公開しています。もちろん、従来の携帯電話向けサービスに利用できるAPIも準備しています。
次ページのセクション以降、YOLP APIを具体的に紹介します。