はじめに
.NETアプリケーションからOracleへ接続するための最善の方法は、Oracle社が提供している「Oracle Data Provider for .NET」(以下、ODP.NET)です。なぜ、ODP.NETが最善の方法かというと、以下の2つの理由からです。
- Oracle接続に最適化されているため、パフォーマンスが良い
- Oracle独自の機能が使用可能
このODP.NETの最新版では64bitに対応しています。今回はこの「64bit ODP.NET」を使用するために必要な準備と、アプリケーション開発の具体的な手順を説明します。
対象読者
- 64bitでのアプリケーション開発に興味のある人
- Oracleデータベース対応アプリケーション開発に興味のある人
必要な環境
Microsoft .NET Framework 2.0 以上が必要です。また、最新版のODP.NET 11.2.0.2.1から接続可能なOracleデータベースは、Oracle 9i Release 2以上が必要になります。
「64bit ODP.NET」を利用するメリット
64bitを利用する際の最大のメリットは、広大なメモリ空間を利用できることにあります。日々データベースに格納されるデータが増大していく中、そのデータを扱うアプリケーション側も膨大なデータを処理するための広大なメモリ空間が必要となってきます。
また、Windows Server 2008 R2からは64bitプラットフォームのみの提供となりました。今現在64bit環境がデファクトとなっている中、アプリケーション側も64bitに対応していく必要があります。 Oracleデータベースに対応したアプリケーションも今回の「64bit ODP.NET」を利用することにより、完全に64bit対応したアプリケーションを開発することができます。では、実際のアプリケーション開発に入りましょう。
ODP.NETのインストール
2011年5月現時点で最新版のODAC 11.2 Release 3(11.2.0.2.1)をダウンロードしてインストールします。Oracle Data Provider for .NET(ODP.NET)およびOracle Providers for ASP.NET の64bit版が含まれています。Oracle Technology Network(以下、OTN)からダウンロードできます。
上記サイトから、[64-bit ODAC ダウンロード]をクリックすると、64ビットのOracle Data Access Components(ODAC)のダウンロードページが開きます。ODACにはさまざまなコンポーネントが含まれており、ODP.NETもODACの中に含まれています。
[ライセンス契約書]を確認し[ライセンスに同意する]のチェックをオンにするとダウンロードが可能となります。[ODAC112021Xcopy_x64.zip]をクリックし、ファイルをダウンロードしてください。ダウンロードしたZIPファイルを解凍すると[install.bat]が解凍されるので、以下の書式でインストールを実施します。
install.bat [インストールしたい製品名] [インストール先] [ORACLE HOME名]
install.bat odp.net4 c:\oracle odac
install.bat all c:\oracle odac
ODACに含まれる製品名は以下になります。ODP.NETとASP.NETについては .NET Framework 2.0以上(2.0, 3.0, 3.5)の場合は、[ODP.NET20]もしくは[ASP.NET]、 .NET Framework 4.0の場合は、[ODP.NET4」もしくは[ASP.NET4]を選択してください。
install.batの指定名 | インストールされる製品 |
instantclient_11_2 | Oracle Instant Client |
ODP.NET20 | Oracle Data Provider for .NET 2 |
ODP.NET4 | Oracle Data Provider for .NET 4 |
ASP.NET | Oracle Providers for ASP.NET 2 |
ASP.NET4 | Oracle Providers for ASP.NET 4 |
OLEDB | Oracle Provider for OLEDB |
OO4O | Oracle Objects for OLE |
OraMTS | Oracle Services for MTSE |
さらに詳細なインストール方法は、解凍後に作成される「readme.txt」ファイルを参照してください。