対象読者
- Visual Studio 2010によるSharePoint 2010開発に関心がある開発者
- SharePointのサンドボックスソリューションの開発に関心がある開発者
必要な環境
サンプル作成のために、本連載の第1回『SharePoint 2010開発の紹介』を参考にして、SharePoint 2010の開発環境を整えてください。
SharePoint Onlineとは
SharePoint Onlineとは、クラウド上で提供されるSharePointサービスのことで、SharePoint 2010がベースとなっています。SharePoint Onlineは、現在マイクロソフトが提供しているOffice 365のサービスの一つとして利用できます(図1)。
Office 365では、Office Web Appsなどに代表される種々のサービスをクラウド上で提供します。利用者は月単位のサブスクリプションとしてOffice 365を購入することにより、すぐに利用を開始できます。いくつかのプランが用意されており、個人や小規模企業向けのプランであれば、1ユーザーあたり1か月600円で利用できます。30日の無料試用版も用意されていますので、まずは気軽に機能を試してみることができます。
自社におけるSharePoint Server 2010のサーバー管理が不要で、毎月ユーザー数分の料金のみで、マイクロソフトによる99.9%の稼働が保証されたサービスを利用できるということを考えると、SharePoint Onlineは非常に魅力的なサービスと言えるでしょう。
SharePoint Onlineにおける開発
SharePoint Onlineでは、SharePoint Server 2010と同様、SharePoint Designer 2010やVisual Studio 2010による開発がサポートされています。
本連載の第2回でも説明しましたが、Visual Studio 2010では、作成するSharePoint 2010ソリューションの形式として、ファームソリューションとサンドボックスソリューションの2つを選択できます。しかし、完全信頼下で実行されるファームソリューションはセキュリティ上の懸念があるため、SharePoint Onlineではサポートされません。サンドボックスソリューションのみが使用できます。サンドボックスソリューションでは、サイトコレクションレベルで展開がなされ、サイトコレクション外のデータへのアクセスが禁止されることによってセキュリティを保証しています。
ただし、その性質上、サンドボックスソリューションでは、含めることができないプロジェクトアイテムがあります。例えば、Webパーツ、リスト定義、イベントレシーバー、コンテンツタイプなどは含めることができますが、可視Webパーツ、ビジネスデータ接続モデルなどは含めることができません(注1)。
サンドボックスソリューションをSharePoint Onlineに展開するには、まずVisual Studio 2010でソリューションパッケージ(.wspファイル)を作成します。そして、SharePoint Onlineのソリューションギャラリーに作成したソリューションをアップロードし、アクティブ化すればOKです。
現在のところ、SharePoint Online上のソリューションを直接デバッグすることはできませんので、まずSharePoint Foundation 2010などの開発環境でしっかりとテストした上で、SharePoint Onlineに展開することが大切です。
Visual Studio 2010 SharePoint Power Toolsを使用することにより、可視Webパーツをサンドボックスでも扱うことが可能になります。