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万華鏡を題材に学ぶ、シミュレーションの基礎

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 万華鏡は、とても単純な仕組みによって、複雑で美しい幾何学模様を作り出します。ここでは、鏡面の反射を数値モデル化することにより、プログラム的に万華鏡を再現します(サンプル画像は下図)。

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対象読者

 本稿は、以下に興味がある人を想定しています。

  • 万華鏡
  • 数値モデルを使ったシミュレーション

必要な環境

 筆者はJDK v.1.6.0 25を使いました。画像処理にjavax.ImageIOモジュールを使った以外は、基本的な機能のみを使っています。

1. 万華鏡について

 万華鏡は、いくつかの鏡を筒の中で組み合わせて作ります(図1)。筒の片方にビーズなどのオブジェクトを置き、もう片方から筒を覗きこむと、筒の中でオブジェクトが幾重にも反射して、オブジェクトの“分身”(像)が幾何学的な模様としてあらわれます(図2)。

図1(万華鏡)
図1(万華鏡)
図2(オブジェクトと像)
図2(オブジェクトと像)

2. 万華鏡のモデル

 このような幾何学模様がみえる仕組みはどうなっているのでしょうか。これを理解するために、目で「ものがみえる」ということを、モデルとして考えます(図3):

  1. オブジェクト上のそれぞれの点を出た光が直進し、目の「瞳孔」と呼ばれる小さな穴を通り抜ける。
  2. さらに進んだ光が、「網膜」と呼ばれるスクリーンに到達する。
  3. 網膜上の個々のセンサーで感知された情報(光)が、脳の中で処理され、画像として再構成される。
図3(目でものがみえる仕組み)
図3(目でものがみえる仕組み)
補足

 実際の目の働きはさらに複雑で、角膜によるレンズの効果や、(双方の目でみた像を1つにまとめ)オブジェクトを立体的に把握する補正などがなされていますが、ここではそういった効果は考慮しません。

 このモデルをカメラに応用したのが、ピンホールカメラです(図4)。このモデルでは、網膜の代わりに平板なスクリーンを用意し、そこに映し出される像を、実際に目でみえる像と考えます:

  1. オブジェクトのそれぞれの点を出た光が直進し、カメラ前面のピンホール(≒瞳孔)を通り抜ける。
  2. さらに進んだ光が、カメラのスクリーン(≒網膜)に到達する。
  3. スクリーン上の各点に到達した光(色)の集まりとして像が再構成される(コンピュータでは、画像は点(ドット)の集まりとして表現される)。
図4(ピンホールカメラ)
図4(ピンホールカメラ)

 以下、このモデルを使って、万華鏡を通してみえる像をシミュレーションします。ただし、技術上の問題から、シミュレーションでは、上の手順を逆に辿ることにします。つまり、スクリーン上の各ドットを出発点として、スクリーン→ピンホール(→万華鏡)→オブジェクトと、光の進む道を逆に辿ることで、オブジェクト上の点(色)を決定します。今回はピンホームとオブジェクトの間に万華鏡があるため、光の進む道が、鏡によって幾重にも反射されます。この反射過程の記述が、シミュレーションの本質的な部分になります。

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この記事の著者

amanojackun(アマノジャクン)

大学卒業後、ウェブ/マーケティング系を中心に、統計解析/シミュレーションに携わっています。ここでは、「サイエンスと他分野の接点」という観点から記事を書かせていただきました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/7447 2013/11/29 14:00

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