ステルスモードで始まった「しゃべってコンシェル」、AWSへ「引っ越し」
まず始めに、栄藤氏は「ドコモはBig AWSユーザーです!」とスライド一面に大きな文字を映しながら宣言しました。栄藤氏曰く「この宣言をしたかった」そうで、現在は数千インスタンスを組織で利用している状況とのこと。
「re:Invent2013で発表した『しゃべってコンシェル』のアーキテクチャは2010年に作成していたのですが、これは内製によるものです。下図のうち、オレンジ色の部分がAWSを利用しています。機械学習を用い、毎秒1万程のつぶやきを収集、常に学習をさせていました」(栄藤氏)
実はこのプロジェクト、当初は「ステルスモード(社長に見せず知らせず、の意)」で進めていたそうです。栄藤氏曰く「失敗するかどうか分からない部分があったから」とのことで、しばらくはそのまま進めていたそうですが、あるとき社長に見つかり公開することに。最初は50万アクセスほどだったものの、その後1か月で150万アクセス、さらに1か月後には250万アクセスと、プロジェクトは急発進の道へと進んで行きます。
2012年には環境の「引っ越し」を都合2回行いました。最初の1回はローカル国内事業者からAWSへの引っ越し。当時はまだAWSの「東京リージョン」が存在しなかったため、ひとまずサンフランシスコリージョンへの移行を決断します。その後、東京リージョン開設に伴い環境を東京へ移行し、レイテンシも改善されました。
上図がこの時の構成図です。「Multi Data Center」というデザインパターンを用い、AZ(アベイラビリティゾーン)を2つ使って構成されました。栄藤氏は「このときはクラウドネイティブ(Cloud Native)で良かったと思いました。他のサービスを含めると、環境構成時には併せて21のデザインパターンを採用していました。爆発的なトラフィックなどを捌く際、AutoScalingでは間に合わないこともあります。数十分前にAMIからインスタンス作成を行い、時間前にサーバー台数を増やすことで対応する、というような対策も行っていました」といいます。AWSでは、このような用途や状況に応じた「クラウドデザインパターン」と呼ばれるノウハウ集が日々AWS利用ユーザの手によって考案され、情報として集約・編集されています。