UXデザインとは?
UXデザインを実践するにあたって大事なことは、ユーザー(開発するWebサービスを使う人たち)を中心に、ユーザーが関わる関係者の気持ちを考えながらサービス作りを心がけることです。必ずしも「UXデザイン」という言葉の厳密な定義を覚える必要はありません。
Webサービスを開発するにあたっては、ユーザーの気持ちを考え、ユーザーにとって、よりよい体験を提供できるサービスを作っていくために、さまざまな手法や考え方、その手法を活用した実践方法があります。ですが、UXデザインの基本プロセスは、図1に示した至ってシンプルな進め方です。実際に取り組みながら、自分なりのやり方やコツを掴んでいくとよいでしょう。
よりよい体験を実現する手段としてのUI
ここで、UI(ユーザーインターフェース)とUXとの違いがよく分からないという方のために、UIの位置付けを解説します。学術的な言葉の定義というより、UXデザインを実践するにあたってのUIの捉え方として覚えておくとよいでしょう。
図2のように、さまざまな要素が絡み合って、ユーザーへの最高に価値のある体験の提供が実現します。例えば、Webサービスの場合、そのサービス自体も価値ある体験の提供のためにユーザーに利用される一手段です。UIは、そのWebサービスをユーザーが利用する際のインターフェースであり、その操作性自体が価値のある体験かどうかに影響を与えます。
ユーザー体験を考える効果
UXデザインを実践しようとするとき、「UXデザインは時間がかかるし、時間をかけてまでやる意味があるのか?」などと問われることが多々あります。ユーザー体験を考え、それを重視してサービスを開発する意味を、エンジニア視点でいくつか紹介します。
開発効率が上がる
サービス開発時に重要なポイントとして、「何のためにつくるのか(why)」「何をつくるのか(what)」の2つがあります。「対象ユーザーがどのような体験ができることを目指すのか?」をUXデザイン実践時には考えるため、ゴールイメージが明確になります。ゴールイメージ=サービス開発をする目的=「何のためにつくるか(why)」という関係になります。
このように考えると、ユーザー体験を考えて開発を進めていけば、「何のためにつくるのか(why)」「何をつくるのか(what)」が明確な状態でエンジニアは実装にとりかかれます。これら2つのポイントが明確になっていないと、せっかく実装しても、ユーザーニーズにマッチしていなかったため、作り直しということにもなりかねません。たとえプロジェクト初期に多少時間がかかったとしても、「何のために(why)」「何をつくるのか(what)」を明確にした上で開発に取りかかった方が、結果的に時間を無駄にせず、効率よく進められると言えるでしょう。
やりがいを感じられる
Webサービス開発時、エンジニアはサービスを実装することがメインタスクとなりがちです。ですが、プロトタイプや実装したサービスを利用したユーザー調査を実施する機会を設定できるのであれば、エンジニアも積極的に参加することをお勧めします。自分が実装したものがどうユーザーに使われるのか、直接ユーザーの反応を見ることで、実装したものが本当にユーザーにとって必要なものであったのか、改善すべき箇所はどこかを実感できます。このようにフィードバックを実際に得ることで、「何のためにつくるのか(why)」に納得して開発できるようになり、開発することにやりがいを感じられるようになるはずです。
使い続けてもらえるサービスへ
ユーザー体験を考慮に入れた上でのサービス開発は、結果的にユーザーのニーズに応え、ユーザーがもっと利用したいと思えるサービス提供につながります。もちろん、はじめからユーザーニーズに完全にマッチするサービスになるわけではありません。ですが、図1に示したUXデザインの基本プロセスを何度も続けていくことで、徐々にユーザーニーズに応えたサービスへと進化させることができます。改善を繰り返し、ユーザーに満足して使い続けてもらえるサービス実装を目指していくとよいでしょう。