それはExcelの問題ではないのではないか
2人目の登壇者は長岡慶一氏。2016年に「Excel方眼紙ってなんでダメなの?」というタイトルのブログ記事を書いたことから、今回の討論会ではエクセル方眼紙肯定派として招かれた。厳密にいえば、長岡氏は絶対的な肯定派というより、使っていて特に困難を感じないので撲滅させるほど悪なのか、疑問を持っているといった立場だ。
したがって、長岡氏のアプローチは、エクセル方眼紙をただ非難・称賛するのではなく、否定派、肯定派の意見や声から問題点やダメな理由を考えるというものだ。それぞれの立場の人が考える、方眼紙のダメな点・よい点を整理するため、ブログに付いたコメントと、独自に行った150人ほどのアンケート(2017年7月~9月中旬に実施)結果を利用したという。
まず肯定派と否定派の割合は、およそ65:35で否定派が上回った。否定派の意見をまとめると、入力がしにくい、データの再利用ができない、入力にコピペができない、章や節など文章構造、ページ情報が持てない、使い方が間違っているなどの意見が多かった。
肯定派は、レイアウトしやすい、印刷がしやすい、図表を入れやすい、直感的、といった意見が多かった。また、関数やVBAを使えば自動生成できる、使いにくいのは方眼紙が悪いのではなく作成者が悪い、といった意見もあったという。
ブログのコメントからは、「項目の追加や押印欄の追加で帳票を更新していくと、データの入力欄がどんどん小さくなっていく」という意見や「役所勤めだと使わざるを得ない。問題は方眼紙ではなく、非効率的なExcelや書類を使わなければならない規則を変える必要がある」といった意見も紹介された。
否定派・肯定派が見ているExcelは同じではない
長岡氏が目を付けたのは「否定派の見ているエクセル方眼紙と肯定派の見ているエクセル方眼紙は違うものではないか」という点だ。これでは両者の意見がかみ合うはずがない。おそらく否定派がいうエクセル方眼紙(神エクセル)はセルの使い方、表の設計により不便な表になっているものであり、肯定派のいうエクセル方眼紙は、けい線やセル結合にしても不便な使い方になっていないものだ。
それぞれの例について、長岡氏はスライドを使ってサンプルを表示させた。否定派のいう神エクセルは、入力データよりも印刷やけい線のみを考えて作られた、複雑なセル構造のシートや、1文字1セルの入力を強いるシートなどだ。さすがに長岡氏も、1文字1セルのシートは使い勝手が悪すぎるとし、このような使い方はダメだと断じた。しかし、その一方で、別シートのセルに、入力された文字列を1文字ずつ分割して別のセル列に展開するマクロを書けば1文字1セルのシートに変換結果をコピペできるという対応策を紹介し、実際に実演してみせた。
実演された例は、極端なものだが、結合されたセルの規則性があれば、関数やマクロで入力を楽にすることは可能だとした。
