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イベントレポート

エクセル方眼紙は情報教育の敗北か、ツール利用形態のひとつなのか…ネ申エクセル公開討論会

エクセル方眼紙を「神エクセル」にしないために

 肯定派がいう方眼紙の例として、長岡氏が仕事でも使っているデータベース定義書の見本を提示した。方眼紙になっておりセル結合も利用しているが、データ部分や再利用したい項目の行や列は一定の規則で配置されており、無駄なけい線やセル結合がないものだ。そして、神エクセルにならない方眼紙式のシートを作るときのポイントとして、以下の5つを挙げた。

  • 便利に使えること
  • セル結合は極力使わない
  • データの使いまわしを考えてセルを設計する
  • 印刷はオマケと考える
  • ページや章は考えない

 さらに、入力、データ加工、表示(印刷)と工程ごとにシートを分ければ方眼紙も意味を持ってくるという。つまり、必要なデータの入力専用シートと表示・印刷のためのレイアウトや様式を優先させたシートを用意する。前のセッションで上原氏が例示した、参照によって帳票にを作成するExcelを作る。参照が複雑だったり、展開する先のセル構造が複雑だったりした場合は、間にデータ加工のためのシートを用意して、マクロなどによって必要な処理を行う。

エクセル方眼紙には、入力シート、加工シート、帳票と3層シート構造で対応してはどうかという提案
エクセル方眼紙には、入力シート、加工シート、帳票と3層シート構造で対応してはどうかという提案

 こうすることで、入力作業の効率化、データ再利用のしやすさを確保しながら、様式優先の帳票も用意できるようになる。結局、道具を生かすも殺すも利用する人間次第である。使ってはダメな神エクセルは肯定しないが、方眼紙になったExcelそのものはしっかり作ればデータ再利用も可能なので、否定しない。これが長岡氏の主張だ。

パネルディスカッションでの双方の論点

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

 パネルディスカッションは、上述2名の講演者に、実践ワークシート協会代表理事 田中亨氏(否定派)、福島コンピュータシステム 渡辺恭浩氏(肯定派)の2名を加えた4名のパネラーで実施された。モデレーターはITジャーナリストの新野淳一氏が務めた。

 パネルディスカッションでは、否定派2名が主に生産性や効率という視点から、エクセル方眼紙の問題点を指摘する。「集計や再利用を考えていないセル結合や単位ごと入力するセルはNG。ダメなExcelは見ればわかる。生産性を見直す意味でもエクセル方眼紙は全廃したいくらい(田中氏)」「役所もオープンデータを考えるなら再利用についても考慮すべき。神エクセルのような帳票が必要な理由をもう一度考えることで、ワークフローの見直しにもつながる(上原氏)」といった意見が出された。

 肯定派は、1セル1文字といった極端な例以外、生産性を下げない工夫や使い方はあるという意見だ。「表計算だけがExcelの機能ではないので、多様な使い方を否定すべきではない。入力や集計はマクロやツールで補うことができる。(渡辺氏)」「入力シートで対応する、データ構造を意識する、抽出するセルは結合しない、など工夫の余地はあるはずでは(長岡氏)」と主張する。エクセル方眼紙になっていても「神エクセル」なっていなければ容認してもよいのではないか、といった立場だ。

 簡単に結論が出る議論ではないが、効率やデータ再利用という観点では、両者の立場で共通する部分もあった。最後に、もう一度参加者へのWebアンケートを行ったところ、肯定派26.3%、否定派73.7%と若干肯定派が増えた結果となった。

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この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10470 2017/10/20 14:00

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