集約のコーディング時に役立つ法則
それでは最後に、集約のコーディングを行うときに意識しておくと良い法則と方針をお伝えします。
デメテルの法則
デメテルの法則は、最小知識の原則とも呼ばれ、オブジェクトのメンバーの「プロパティやメソッド」を直接触らない法則です。例えば、あるオブジェクトが存在する場合、呼び出していいのは以下の4つとなります。
- オブジェクト自身のメソッド
- 自身にパラメータとして渡されたオブジェクトXのメソッド
- 自身の内部でインスタンス化されたオブジェクトYのメソッド
- 自身が保持しており、直接アクセスできるオブジェクトZのメソッド
逆に呼び出してはいけないものは、オブジェクトX/Y/Zのメソッドが戻したオブジェクトのメソッドです。
この法則に従う場合、オブジェクトが他の構造に依存しにくいため、保守性が向上するといわれています。デメテルの法則は、集約ルートに対して命令を出すが、集約の内部のエンティティや値オブジェクトに対して命令を出さないことを表しています。
「命じろ、たずねるな(Tell-Don't-Ask)」の指針
「命じろ、たずねるな」の指針は、オブジェクトを操作する際に、そのオブジェクトの内部状態をたずねることなく、命令だけするという指針です。呼び出し先のオブジェクトの状態をたずねるという行動は、呼び出し側が知る必要のない情報を考慮する必要があることになるため、あまり望ましくありません。
集約での依存性の注入を避ける
別の集約を識別子で参照する場合、参照先の集約はそのままでは読み込まれません。参照先の集約の情報を永続化層から読み出す場合、次の2つの方式が存在します。
【方式1】集約の中からリポジトリを呼び出す方式
「切り離されたドメインモデル」という遅延読み込み方法です。IDDD本では集約の内部からリポジトリやドメインサービスを使用することになり、ドメイン層の中で永続層を意識する必要があるためあまり推奨されていません。
【方式2】集約の外(リポジトリまたはドメインサービス)から、事前に呼び出しておく方式
依存する集約を事前に準備した後で、メイン集約の処理に渡す方法です。依存するオブジェクトを事前に取得して、集約のコマンドメソッドの引数に渡します。IDDDではこちらの方式が推奨されています。
以上、集約の設計方式を始めとして、コーディングを行うときに参考する指針を紹介しました。集約としてふさわしい操作を記述できるのではないでしょうか。
最後に
本稿では集約について紹介しました。オブジェクトを集めて管理するという、一見簡単そうに見える集約ですが、数多くの判断指針によって集約のサイズや内包するオブジェクトを決定することが理解できたかと思います。次はDDDの「ファクトリ」について紹介します。
