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軽量PHPフレームワークSlimを習得しよう

Slimのコンテナ機能を使ってみよう

軽量PHPフレームワークSlimを習得しよう 第5回


コンテナとDI

 前節でログの書き出しを紹介しました。ここで、コンテナの話に戻ります。先のログは実運用では必須の機能なので、アプリのさまざまな箇所にログへの書き出しコードを埋めていきます。特に例外処理でのcatchブロックなどでは必須といえます。

 ところが、これは、あくまで実運用での話であり、テスト段階、特に個々のメソッドが想定どおりに動作するかをチェックする単体テスト(ユニットテスト)では、ログへの書き出し機能は不要となります。むしろ、ログファイルが肥大化し、そちらのメンテナンスが大変になります。そういった場合に都合のいい仕組みが、このコンテナなのです。

 例えば、リスト4の段階で以下のようにLoggerをnewする処理を記述したとします。

$logger = new Logger("firstslim");

 こうすると、このルーティングコールバック関数は、この時点でMonologのLoggerクラスに依存することになり、$loggerは他でもないMonologのLoggerインスタンスそのものを表します。これは、別にLoggerクラスに限った話ではなく、Twigクラスでもそうです。コード中であるクラスをnewする処理を記述すると、その時点でそのコードはnewしたクラスに依存することになります。

 ところが、これを、リスト4のようにコンテナからもらうようにするとどうなるでしょう。

$logger = $this->get("logger");

 この記述では、コンテナへの登録処理コードがしょせんLoggerクラスをnewしてリターンしているというのを知っているだけに、確かに$loggerはMonologのLoggerインスタンスを表すと思えます。しかし、ここでもし、コンテナへの登録処理のコードを以下のように変更したとします。

$container["logger"] = function($container)
{
	$logger = new DummyLogger();
	return $logger;
};

 ここで登場したDummyLoggerクラスは、MonologのLoggerクラスに似せて作った(同じメソッドを記述した)、何も処理を行わないクラスとします。そして、index.phpに記述したコンテナへの登録処理を丸々上のコードに差し替えたとしたら、このアプリ中のルーティングコールバック関数内で使われる、以下のコードの$loggerは途端にDummyLoggerを表すことになります。

$logger = $this->get("logger");

 つまり、$loggerという変数のクラスへの依存関係を変数宣言の時に確定させるのではなく、コンテナからもらうことで、実行時までずらすことができるのです。

 このように、クラスの依存関係を実行時までずらすことを、「依存性注入」といい、英語では「Dependency Injection(DI)」といいます。まさに、依存関係を実行時に注入する仕組みです。そして、それを実現するのが、このコンテナなのです。

 そのため実は、このコンテナのことを正式には「Dependency Container(依存性コンテナ)」、あるいは、「Dependency Injection Container(依存性注入コンテナ)」といいます。

 このDIのメリットは、先に解説したように、実運用環境とテスト環境といった、環境が違う場合に利用するクラスを、実運用のものとダミーなものに切り替える、といったことが容易にできることです。特に、各メソッドのテストを行うユニットテストを行おうとすると、このDI技術は必須といえます。

まとめ

 今回は、Slimにおけるコンテナの使い方を扱いました。そのコンテナを使ってのログの扱い方、さらには、なぜコンテナが必要かというところでDIを紹介しました。

 次回は、これまでルーティングコールバック関数内に記述していた処理を1つのクラスにまとめることができる方法として、コントローラクラスを扱います。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。 2026年時点での登録メンバは約50名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるLaravel実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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