SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine(コードジン) DeveloperZine(デベロッパージン)- エンジニアの意思決定を支える技術情報メディア ProductZine

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー

チームから会社へ越境する~「ハンガーフライト」で社内カイゼンの場を作ろう

開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー 第9回


解説 「ハンガーフライト(オープンスペーステクノロジー)」

今回の解説は、片瀬が担当します。現場の課題は、なおざりになっていませんか? エッジの効いた技術的な取り組みが社内で認識されていなかったり、トップダウンの命令や目標によって文脈や意図が把握できていないため

 今回の解説は、片瀬が担当します。現場の課題は、なおざりになっていませんか?

 エッジの効いた技術的な取り組みが社内で認識されていなかったり、トップダウンの命令や目標によって文脈や意図が把握できていないため"やらされ感"が満載だったり、部署間のコミュニケーションで断絶があったり…と、さまざまな原因によりモチベーションが上がらない方も多いのではないでしょうか。

 会社を良くしていきたいという思いを、「ハンガーフライト」というボトムアップ型の社内勉強会で会社全体にぶつけましょう。

 そのために、情熱を持って課題解決を推進する、リーダーシップを生み出す強力な場作りのプラクティス、「オープンスペーステクノロジー」を紹介します。

ハンガーフライトとはなんでしょうか?

 その前に、そもそもハンガーフライトとは、いわいるボトムアップ型の社内勉強会のことです。

 まだ、航空技術が発達する前の時代、パイロットたちが天候が回復するまでの間、格納庫(ハンガー)で飛行テクニックや危険なシチュエーションを回避する経験談を共有したり相談したりして、雑談しながらお互いに成長していたそうです。これと同じように、業務やプロジェクトでの経験談や課題、技術的解決策などを発表し、相談しあう場を「ハンガーフライト」と呼びます。

 今回は、このハンガーフライトという大きな枠の中で、「オープンスペーステクノロジー」を実施していきます。では、オープンスペーステクノロジーとはなんでしょうか?

オープンスペーステクノロジーとは
オープンスペーステクノロジーとは

オープンスペーステクノロジーとはなんでしょうか?

 オープンスペーステクノロジーとは、悶々とした日頃の課題や斬新なアイデアを持ち寄って、部署を超えて参加者みんなで対話することで、今後のアクションにつなげていくワークショップです。

 まず、参加者が課題や提案したいアイデアなど、テーマを出し合い、それらのテーマで「マーケットプレイス」と呼ばれるタイムテーブルを作成します。

 タイムテーブルの各セッションのスタート時、テーマの提案者は仲間を募ったりファシリテートしたります。セッション中、参加者は自由に移動でき、セッション間を行き来して、貢献したいテーマのセッションに参加できます。

 セッションでは、真に取り組みたいことを自発的に提案したり、対話できる場があります。熱意をもった提案により、場が立ち上がり、仲間との小さなコミュニティーが生まれるでしょう。

 ハンガーフライトの中でオープンスペーステクノロジーを実施し、社内の課題を自分ごととして解決していきましょう。

なぜやるの?

 このハンガーフライトでオープンスペーステクノロジーを実施する目的と課題を整理しておきましょう。

越境して自分たちの課題を自分たちで解決していく場づくり

 経営陣との心理的距離感や、部署間のボールの投げあいの壁を打破するため

ダイナミックに出現する未来を対話によって自ら作り出し、リーダーシップを生みだす

 悶々と抱えている課題に対して、自分から発言・行動し、主体性の欠如から脱皮するため

共感する仲間を見つけ、意欲をもってアクションにつなげていく

 個別に上司に提案するのではなく、会社の課題として協力して解決するため

グラウンドルール

 ハンガーフライトにおける、参加者の3つの役割と4つの原則を押さえておきましょう

3つの役割

 参加者は、自分が貢献していない、貢献できないと思えば、自由にセッションを移動して構いません。参加者自身が生産的な時間にすべく自ら考え、判断し、場に貢献する自由があります。その行動パターンから以下の3つに分類されます。

さえずる鳥・群がる蜂・飛び回る蝶
さえずる鳥・群がる蜂・飛び回る蝶
1. さえずる鳥

 テーマを提案した人たちです。対話をリードすることになるでしょう。1人で仕切る必要はありません。同じ課題を持った人やリーダーシップを発揮してくれる人もいるでしょう。一緒に場を作り上げていきましょう。

2. 群がる蜂

 テーマに群がる人たちです。対話の中で議論をしていきましょう。ポジショントークも時には重要です。ただし、議論の勝ち負けではありませんので、貢献する意識を忘れずに建設的に意見交換しましょう。

3. 飛び回る蝶

 セッションを渡り歩く人たちです。複数のセッションを回りながら、他のセッションで出てきたアイデアなどを持ち込みましょう。協同した実行プランが出来上がれば、相乗効果でより大きな問題が解決するかもしれません。

 蝶たちが別途、即席のセッションを生み出すこともOKです。場に貢献できることが正しい姿なのです。

4つの原則

 以下の原則には、集まった仲間同士が建設的な対話の場を作れるように振る舞ってもらう狙いがあります。各々の意思と責任において行動してもらいましょう。参加者同士の力で、価値のある場になることを信じ、そして委ねましょう。

1. だれでも

 ここにいる人が、誰もが正当な参加者なのです。

2. いつでも

 いつ始まろうと、いつ終わろうと、それが適切な時なのです。

3. どこでも

 どこで起ころうと、その場所が見つかったのならそこが場なのです。

4. なんでも

 何が起ころうと、それが起こるべきすべてです。

事前準備

 以下を準備しておくと良いでしょう。

事前アナウンス

 課題解決やカイゼンを全社的に実施する社内勉強会イベント「ハンガーフライト」の企画を全社に通知しましょう。

 社内で技術的にとがった取り組みをしているチームや成果を出した部署のメンバーに、発表の場を作ったことと、登壇の依頼をしておきましょう。

 社内のとがった研究の成果発表があることを伝え、参加者が集まりやすい状況を醸し出しましょう。その次にオープンスペーステクノロジーを実施するため、課題や提案を模索しておいてほしいと伝えておきましょう。

下準備

  • 会場にサークル状に席を用意しましょう
  • 複数のセッションの場所のために会議テーブルや下記の文房具を配備しておきましょう
  • マーケットプレイスのタイムテーブルを用意しましょう。会場の大きさや参加人数によってマーケットプレイスのタイムテーブルは変化します。時間は30~40分くらいで1セッション、5~10人で1テーブルの計算で、タイムテーブル数を算出してみましょう。当日のテーマの提案数によって柔軟にタイムテーブル枠数を微調整すれば良いでしょう。
マーケットプレイス
マーケットプレイス
会場レイアウト
会場レイアウト

文房具や機材

運営用
  • タイマー
セッションテーブル用
  • テーブル・椅子
  • ペン
  • 付箋紙
  • 模造紙
  • ドットシール
  • 場所名掲示用のラベル(テーブルAやテーブルB)
テーマ出し、マーケットプレイス用
  • A3用紙
  • テープ

次のページ
当日の進め方

この記事は参考になりましたか?

開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

市谷 聡啓(イチタニ トシヒロ)

 ギルドワークス株式会社 代表取締役/株式会社エナジャイル 代表取締役/DevLOVEコミュニティ ファウンダー サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

新井 剛(アライ タケシ)

 株式会社ヴァル研究所 SoR Dept部長/株式会社エナジャイル 取締役COO/Codezine Academy Scrum Boot Camp Premiumチューター CSP(認定スクラムプロフェッショナル)/CSM(認定スクラムマスター)/CSPO(認定プロダクトオーナー) Javaコンポー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/11705 2019/11/07 11:11

おすすめ

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー