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創業から14年、技術集団としての「ピクスタ」は降りかかる数々の課題をいかに乗り越えて成長を成し遂げたのか【前編】


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 2005年に、デジタル素材のマーケットプレイスである「PIXTA」を運営するスタートアップとして創業した「ピクスタ」。2015年には東証マザーズへ上場するとともに、グローバル市場への進出を加速し、着実な成長を遂げている。しかし、その裏で、成長し続けるサービスを支える技術基盤を作り上げていく開発チームには、さまざまな試練が待ち受けていた。次々と浮上する、組織や技術の課題を自らの力で定義し、克服し続けられる技術集団へと成長していくためには何が必要なのか。本記事では、2013年より、ピクスタの技術面でのコンサルティングを手がけ、2019年より同社の技術顧問に就任した和田卓人氏と、ピクスタで開発部長を務める星直史氏、技術推進室で同社のサービスや開発プラットフォームを支える技術の「改善」に取り組んでいる後藤優一氏の対話から、そのヒントを考えたい。

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左から和田卓人氏(技術顧問)、星直史氏(開発部 部長)、後藤優一氏(技術推進室 室長)
左から和田卓人氏(技術顧問)、星直史氏(開発部 部長)、後藤優一氏(技術推進室 室長)

ペアプロを通して多くを学び、技術力ナンバーワンを目指した新人時代

和田:本日はよろしくお願いします。まず簡単に、ピクスタの事業概要について、星さんからご説明いただけますか。

:創業以来の主軸事業は「PIXTA」で、写真やイラスト、動画といったデジタルコンテンツを、ユーザー同士がネット上で売買できるマーケットプレイスを提供しています。そのほか、写真を撮ってほしいユーザーと、プロのフォトグラファーをマッチングする家族向け出張撮影プラットフォーム「fotowa」、アーティストの支援プラットフォーム「mecelo」などを展開しており、グループとしては、スマホ写真の投稿販売を行うマーケットプレイス「Snapmart」も、事業譲渡を受けて運営を行っています。

和田:私自身は、2013年からピクスタのお手伝いをさせてもらっていたのですが、対外的にも関係を明確にしておこうということで、改めて「技術顧問」という立場で、関わらせてもらうことになりました。

:私が入社したのは2012年なので、社歴の半分以上、和田さんにお世話になったことになりますね。和田さんの目には、技術集団としてのピクスタの状況は、どんなふうに映っていますか。

和田:もともと、私がピクスタに関わるようになったのはTDD(テスト駆動開発)のコンサルタントとしてでした。当時は、上場を目指しているタイミングでしたが、海外進出を視野に、決済システムの海外通貨への対応をしていきたいと考えていると。ただ、実際に話を聞いてみると、テストコードがないなど、状況が深刻なことも分かってきました。まずは決済に関わる部分だけでも、テストをかけながら品質を上げて、上場を迎えたいという希望を受けて、お手伝いをするようになりました。

 それが6年ほど前の話なのですが、その後も継続的に関わらせてもらう中で、企業の成長に合わせて、自分たちで問題を定義し、解決できる技術集団に育ってきていると感じています。今回は、そうした技術集団が成長していく過程で直面する課題や、それをどうやって乗り越えてきたのかについて、沿革を伺えればと思っています。

 そもそもの話からなのですが、星さんは、どんなきっかけでピクスタに来たのですか。

:僕は地方出身で、最初は、そこで体力勝負の仕事に就いていたんです。でも、長くは続けられないと感じ、プログラマーを目指してSIerに転職します。そこには2年半ほど勤めたのですが、仕事の内容はスプレッドシートにテストのエビデンスとなるスクリーンショットを張り付けるような仕事ばかり。プログラマーを目指したのは、手に職をつけるためだったのに、こんなことばかり続けていてはスキルが身につかないと感じて、次の転職先を探しました。

和田:その「次の転職先」がピクスタだったわけですね。ちなみに、ピクスタはどうやって知ったのですか。

:これ、今では笑い話にしているのですが、とある大手の転職情報サイトに登録したら、その30秒後に社長の古俣からプライベートオファーが来たんです。そんなことあるんですかね、普通(笑)。

 せっかくオファーをいただいたので、話を聞いてみたところ、私がやりたかったRuby on Railsを使っていたし、当時、エンジニアが社内に5人くらいしかいなかったので「これなら、サービス全体に関わりながら、いろんなことがやれそうだ」と感じたのが入社を決めた理由でした。

和田:でも、入社当初はコードが書けなかったんですよね。どんな感じで仕事をしていたんですか。

:最初の1年くらいは、小さな不具合を見つけて直すようなことばかりやっていました。当時、リードエンジニアの方がいて、その人の仕事量が尋常ではなかったのですが、見ていると、本来、その人がやるべきではないレベルの仕事も、その中に大量にあったのですね。リードエンジニアの方には、その人のスキルが必要な仕事をやってもらって、それ以外のものを、自分から手を上げて巻き取るというような形でやっていました。

 2年目、3年目になると、自分の仕事のレベルも少しずつ上がってきて、新規の開発などもやらせてもらえるようになりました。和田さんと直接一緒にやらせてもらったのは、先ほどお話しのあった決済に関するシステムですね。決済方法が増えたり、複数通貨への対応を進めたりする中でコードが複雑化し、まれに不具合なども出ているような状況でした。それらを和田さんとペアプロしながらリプレースしていく中で、本当に多くのことを学びました。それまでよく分かっていなかった、リファクタリングの手法や、テストをどのタイミングでどれくらい書けばいいのかといったことを、その過程で教えていただきました。

 今思うと、あの経験が自分としての技術的なブレークスルーになったと感じています。

後藤:あの後から、しばらく星は「ペアプロ教」の信者になっていました(笑)。

和田:決済系システムのリプレースから始めて、その後はバッチ処理のフレームワーク化なども、星さんと一緒にやりましたね。

:あの経験で、かなりの自信がつきました。「今の自分なら、Rubyで何でも作れそう! ピクスタで技術力ナンバーワンを目指す!」と思っていたのがあのころでした。

和田:でも、すぐにそう言ってもいられない状況になったんですよね(笑)。

和田卓人(わだ・たくと)氏

タワーズ・クエスト取締役社長/ピクスタ株式会社 技術顧問 和田卓人氏
タワーズ・クエスト取締役社長/ピクスタ株式会社 技術顧問 和田卓人氏

 タワーズ・クエスト取締役社長。日本におけるテスト駆動開発(TDD)の第一人者でありスペシャリスト。学生時代からオブジェクト指向分析、設計を手がけ、2000年ごろにXP(エクストリーム・プログラミング)に出会う。その後、現在まで20年近くにわたり、TDDのエバンジェリストとして活動を続けている。ピクスタには、2013年よりTDDのコンサルティング的な立場で関わっており、同社の技術集団としての成長を間近で見てきた。2019年10月より技術顧問に就任。

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この記事の著者

柴田 克己(シバタ カツミ)

フリーのライター・編集者。1995年に「PC WEEK日本版」の編集記者としてIT業界入り。以後、インターネット情報誌、ゲーム誌、ビジネス誌、ZDNet Japan、CNET Japanといったウェブメディアなどの製作に携わり、現在に至る。現在、プログラミングは趣味レベルでたしなむ。最近書いているの...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/11740 2019/10/08 11:03

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