「TwilioQuest 3」がもたらした3つの効果
上図は「TwilioQuest 3」のアーキテクチャ構成だ。右側に記載されているFirebase・GCPの環境には、サーバー側のアプリが配置されている。ゲームの最新のコンテンツ情報が格納されているのは、この環境である。
左側に記載されているのは、ローカル環境で動かすクライアントアプリだ。このアプリは起動後にサーバーサイドとの通信を行い、チェックサムを確認して最新のデータを取得。そして、ダウンロード後のコンテンツを実行する。コンテンツはHTML・CSSベースで作成されており、内容の切り替えも容易だ。使用されている要素技術としては、以下が挙げられる。
- Electron: Web技術を用いて、クロスプラットフォームで動作するデスクトップアプリを開発するためのフレームワーク。
- React:UI構築のためのJavaScriptライブラリ。
- Phaser:ブラウザ上で動作する2Dゲームを開発するためのフレームワーク。
- Tiled:オープンソースのマップ(地図)エディタ。
「ここからは、『TwilioQuest 3』の導入によってどのような効果がもたらされたのかを、3つの視点で解説していきます」(池原氏)
1.導入の効果:アクティブユーザー数
前バージョンである「TwilioQuest 2」と比較すると、リリース後のアクティブユーザー数(その月の一定期間にアプリを立ち上げたユーザー数)は対前年比で95%も増加したという。「TwilioQuest 2」と「TwilioQuest 3」では、中身のチュートリアルはそれほど変わっていない。つまり、アプリの使い勝手やインターフェースの改善そのものが、新規ユーザーの獲得および利用継続率の向上に寄与している。
2.導入の効果:コンテンツの消費数
次の観点として、コンテンツの消費数(1人のユーザーが消費するチュートリアルの数)を池原氏は挙げる。2018年を100とすると、2019年は235だ。つまり、135%も増加したという結果が出ている。驚異的な伸び率である。いかにゲーミフィケーションが、ユーザーのリテンションおよび製品理解の向上に結びついているかがわかる。
3.導入の効果:セールスパイプライン
3つ目の観点として、「TwilioQuest 3」がサービスのセールスにもたらした恩恵について解説していく。Twilioは世界各地で行われる開発者向けイベントで、「TwilioQuest 3」を紹介している。今回の「Developers Summit 2020」もその一例である。また、「TwilioQuest 3」を主体としたイベントを自発的に開催することもある。
「詳細な数値はセッション内では話せないものの」と前置きしたうえで「『TwilioQuest 3』がきっかけとなり、セールスパイプラインにポジティブな影響が生まれました。売り上げにつながる案件の数はかなり増えています」と池原氏は述べた。
最後に池原氏は、「TwilioQuest 3」が現在抱えている課題や、今後の改善すべき点についても解説し、セッションを終了した。サービスを開発・運営する者にとって「いかにして、より多くのユーザーにサービスを利用してもらうか。そして、使い続けてもらうか」は普遍的な課題である。その1つの解として「ゲーム要素を取り入れる」という手法を、私たちは有効活用していくべきなのかもしれない。
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