効率化と高精度を両立できるSalesforceの開発プラットフォーム
セッションの後半では、前半で紹介したローコード開発を実現するために、Salesforceをどう活用できるのか。田中氏は、セールスフォース・ドットコムの重要なポリシーとして、「新しいテクノロジーを、すぐにビジネスに適用できる形で提供する」ことの一点を強調する。
「一般的にSalesforceといったサービスが新しいテクノロジーをリリースする場合、APIと組み合わせてユーザーに提供します。しかし、アプリ開発の内製化が進む中で、ビジネスユーザーが直接APIを使うことは困難です。だからこそ私たちは、ローコード的な思想(設定1つで最新機能を有効化できる点)にこだわるのです」(田中氏)
次は、Salesforceの具体的な開発プラットフォームを見ていく。これはSalesforce Customer 360 Appsと呼ばれ、ローコードだけでなく、従来のコーディングでもアプリ開発が可能だ。「開発効率アップ」と「高度な作り込み」といった両者の 「いいとこ取り」によって、アプリ開発期間を57%短縮させた実績もある。もちろん、現代の業務アプリケーション開発に必要な機能やセキュリティ対策を標準装備しており、まさに信頼性の高いアプリを高速に開発するための、エンタープライズ向け開発プラットフォームだ。
Salesforce Customer 360 Appsによる、アプリ開発の基本的な考え方は、(1)ノーコード:設定変更によるアプリ構築、(2)ローコード:機能拡張と処理の自動化、(3)プロコード:複雑な要件への対応の3つだと田中氏は説明する。
「ノーコードは、完全に設定ベースでアプリを構築していく手法です。データベースやデータソースのロジックやソースコード。またユーザーごとの権限設定やブロックチェーンの設定までも、Salesforce Customer 360 Appsなら設定変更だけで構築可能です。2つ目のローコードでは、コードを書かずにロジックを構築して、例えば処理の自動化やバッチ処理などを自動生成できます。3つ目のプロコードは、通常のコーディングでさらに細かく作り込むことや、UXを高める画面デザインや複雑なデータ操作も可能です」。
田中氏は、実際にSalesforce Customer 360 Appsを使って、勤怠管理ソフトを開発するデモも披露した。プラットフォームの特徴である「できるだけコーディングの必要性を減らし、アプリ開発を効率化しながら高度な機能を実現できる」点を強く印象づけた。
最後に田中氏はまとめとして、「これからの開発に求められる働き方とマインドセット」について解説する。具体的には、以下の3つが重要になるそうだ。
1.より高速なアプリケーション開発
ユーザーの期待にこたえるためには、ビジネスの変化のスピードに負けないスピードでアプリを開発しなくてはならない。そのためにも従来のコーディングだけに頼らない、より効率的な開発手法を取り入れていくマインドが不可欠だ。
2.シチズンデベロッパーとの協業
慢性化したIT人材不足から脱却し、より創造的な開発環境を作り出していかなくてはならない。開発者の作業負担を軽減し、より重要な課題にエネルギーを振り向けるためにも、シチズンデベロッパーとの協業が期待されている。
3.コーディングをやめない
ローコードは、あくまで開発スピードを上げるための手段にすぎない。テクノロジーの進化を追求し、より良いものを生み出していく開発者本来の仕事を見失わないためにも、自らコーディングする取り組みを続けていくべきだ。
「コーディングとローコード開発それぞれが適している部分を熟知した上で、両者を的確に組み合わせながら最速でアプリを構築できる開発者を目指す。こうした取り組みがお客さまの高い満足を生み、ひいては皆さん自身の開発者としての価値を上げることにつながっていきます」と田中氏はセッションを締めくくった。
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