Team & Collaboration skillsを支えるヒューマンスキル
Team & Collaboration skillsとしてコアとなるのはヒューマンスキルと呼ばれる対人関係構築スキルである。これはチームメンバー間やチーム外のステークホルダーとの間での関係構築に必要なスキルであり、次のものがある。
- コミュニケーションスキル
- コーチングスキル
- ファシリテーションスキル
- プレゼンテーションスキル
- ネゴシエーションスキル
- リーダーシップ
プロダクトマネージャーに求められるリーダーシップ
プロダクトマネージャーにとって必須のスキルでもあるリーダーシップだが、日本語でリーダーシップと言った場合、マネジメント職やそれに近いポジションにのみ求められるスキルだと誤解される傾向がある。しかし、リーダーシップはマネージャーだけに求められるスキルではない。リーダーシップは人を率いる場合に必要となるスキルであり、本質的にはすべての職種になんらかの形で必要とされるスキルである。
もし、リーダーシップという言葉に抵抗感があるならば、オーナーシップや主体性といった言葉に置き換えてみても良いが、リーダーシップという言葉の持つ「率いる」という意味は忘れないようにしたい。プロダクトマネージャーに求められるリーダーシップとは、プロダクトチームを「率いる」ことである。
プロダクトマネージャーのマインドセット
プロダクトマネージャーが持つべきマインドセットは、なんとしても成し遂げようとする執念と言える。なぜならプロダクトマネージャーは、メンバーに指示するだけでなく、プロダクトの成功のために自らができることはすべて行う泥臭い仕事だからだ。
マネージャーという呼び名には、指示や承認を与える指揮命令者のイメージがあり、実際そうであることも多い。しかし、本来はManage、すなわち管理を行う役割を担う人がマネージャーである。何を管理するかによって、その役割は変わる。
プロダクトマネージャーが管理するものはプロダクトだ。ただし、プロダクトはチームで作り、育てていくので、この組織横断チームであるプロダクトチームを束ねプロダクトを成功に導くプロセスを管理することがプロダクトマネージャーの行う「管理」だ。
具体的なイメージとしては、高校野球などのスポーツチームのマネージャーを思い浮かべると良い。この場合のマネージャーは選手が試合において最高のパフォーマンスを発揮できるように健康管理から備品の整備などさまざまなことを行う。練習メニューを考えるために試合のスコアを付けたり、分析したりすることもあるだろう。
芸能タレントのマネージャーも良い例だ。担当のタレントがより良い芸能活動を行い、彼や彼女の成功のために、仕事を段取りし、最高のパフォーマンスを発揮できるように環境を整える。
このように、マネージャーは影の存在である。主役である選手やタレントが活躍し、ゴールを達成するためにすべてのことを行う。
組織において、このように働くリーダーのことを「サーバントリーダー」と呼ぶ。サーバントとは奉公人や使用人という意味だ。リーダーシップのあり方として、この奉公人や使用人が行っているように、奉仕することでチームを支援する考え方だ。プロダクトマネージャーもプロダクトチームにおいてサーバントリーダーとして振る舞う必要がある。我を強く出すだけでなく、チームメンバーが自発的にプロダクトのことを考え行動する文化を醸成する必要がある。
ただし、このように言うと誤解されることもあるが、良い製品は合議制だけでは生まれない。意見が割れた時にも最終的な意思決定を強い信念の元に行う必要があり、時には激しい衝突が起きることもある。しかし、表面的には争いのないチームよりも、時にはぶつかり合いながら、良いものを生み出したいと考えるメンバーが集まり、最後に意思決定を行う信頼できるリーダーがいるチームが人々に価値を与えている。サーバントでありながら、難しい意思決定をもこなしていく。そのようなマインドセットがプロダクトマネージャーには求められている。
プロダクトを生み出す執念
成功したプロダクトとして多くの人が思い浮かべるのは、iPhoneだろう。スマートフォンが今のような姿となったのは、AppleがiPhoneを発明したからだと言っても過言ではない。iPhoneのプロダクトのトップは亡きスティーブ・ジョブズだ。ジョブズはさまざまな逸話からも明らかにされているように、必ずしも人格者ではなかった。今の時代だったら、ハラスメントで訴えられている可能性もある。しかし、ジョブズはiPhoneのみならず、多くのイノベーションを成し遂げた。他にもIT業界でのイノベーターは必ずしもサーバントとは限らない。
彼らに共通するのは強い意志や成し遂げるための執念だ。彼らのようなイノベーターは起業家であることも多いが、起業家とプロダクトマネージャーには共通点が多い。スタートアップの創業者が実質その会社の最初のプロダクトマネージャーであることは多い。それはその創業者が収益事業の核となるプロダクト開発に対して強い意志を持ちリードしていくからである。ミニCEOとも言われるプロダクトマネージャーも起業家精神(アントレプレナーシップ)を持つ必要があるだろう。
プロダクトに対する好奇心
プロダクトマネージャーには好奇心も必要である。プロダクトマネージャーは究極のジェネラリストとして、あらゆる領域に対しての知識が必要である。実際にはすべての領域に対し、最初から必要な知識を有していることは稀であり、またプロダクトマネージャーが1人ですべてを担当する必要もない。しかし、どんな領域に対しても必要最小限の知識は持ち、例えチームメンバーに担当してもらう領域があったとしても、その領域に対して知ろうとする意欲は必要である。
特に、市場において求められる要求が不確かなことが多い昨今の状況においては、その不確かさに対してむしろ強い興味を抱くことが求められる。わからないことや新しいことに対して嫌悪ではなく、興味を抱き、学習意欲があることが望ましい。
プロダクトマネージャーを既存の職業で例えるならば、起業家であると同時に探検家であることが求められていると言える。成し遂げるための執念を持つ起業家と探究心を持つ探検家の二面性がある。
次回は
今回はプロダクトマネージャーのスキルの全体像を解説した。書籍では、それぞれのスキルをさらに解説し、またそのスキルを活かした実際のプロダクトマネージャーの職務について解説する予定だ。これにより、プロダクトマネージャーの方々のスキルの習得と活用がさらに進むことを目指している。
次回は、チーム構築力やステークホルダーとの関係構築などのCooperationを解説する。
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本連載は、プロダクトマネージャーを目指す方の道しるべとなる書籍(執筆中)の一部抜粋です。
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